FCS (2009):パッケージ内容
Final Cut Studio (2009)アップグレード版を、アップルストア銀座で店頭購入しました。
※量販店では、ヨドバシアキバに電話確認したところ「入荷の予定はあるがまだ入っておらず、8月上旬になる可能性がある」とのことでした。実際の入荷は店舗に確認が必要ですが、「秋葉原」「ヨドバシカメラ」という条件の店舗ではこのような状況です。
では、パッケージを見てみましょう。
今回は紙のマニュアル群は同梱されず、箱が思いっきり小さくなりました。
手前が今回リリースされたFinal Cut Studio
カバーを外すと中箱があり、更に冊子の箱とディスクの箱が出てきます。
内容物は、
■冊子
・インストールガイド「Final Cut Studio ソフトウェアのインストール」
・FCP7チュートリアル「Final Cut Proを使ってみる」
・使用許諾契約
・AppleCareサービス&サポートガイド
■ディスク
・Final Cut Studio Install DVD (Version 3.0)
・DVD Studio Pro Content (Version 2.0)
・Motion Content 1 (Version 3.0)
・Motion Content 2 (Version 3.0)
・Audio Content 1 (Version 3.0)
・Audio Content 2 (Version 3.0)
・Audio Content 3 (Version 3.0)
(計7枚、DVD Studio Pro ContentのみFCS2と同じもの)
です。
操作に関する紙媒体は、「Final Cut Proを使ってみる」のみ。
これには各部の名称から取り込み、基礎的な編集までを「解説」「演習」といったかたちで解説しており、大きさ的にも手元に置いて読めるサイズなので、多くのユーザーにとって座右の書になりそうです。
なお、従来通りフルマニュアルはアプリケーションの「ヘルプ」からPDFのものを呼び出すことができるため、印刷したものは割愛されたと思われます。このあたりのコストダウンが値下げされたことに関係するのでしょうか。
※印刷されたマニュアルが存在するのかどうかはわかりませんので、欲しい方はアップル社に問い合わせてみて下さい。
Final Cut Studio (2009)
アップルから、Final Cut Studio (2009)が発表されました。
通常版が108,800円、アップグレード版が31,800円で、いずれもアップルストアにて24時間以内の出荷となっていますので、店頭にも間もなく並ぶことでしょう。
なお、アップグレードはFCS(1,2)、Production Suite及びFinal Cut Proの旧バージョン(特に記載がないので、1.2から可能なのかは不明)のユーザーが対象です。
※アカデミック、NFRは対象外
※今回リリースされたものにはバージョン番号がなく、サポートページなどではFinal Cut Studio (2009)と表記していることから、当サイトでも名称の表記を変更しました。2009.7.24
Final Cut Pro 7:新機能、改善ポイント
アップルの製品情報「Final Cut Studioの新機能」などを参考に、Final Cut Pro 7の主立った新機能や改善点をざっと見てみましょう。
●コーデック関連
・ProResコーデックが拡張
http://www.apple.com/jp/finalcutstudio/finalcutpro/apple-prores.html
ProResファミリーに、12bit/4:4:4:4(RGB+アルファチャンネル)に対応した4444と、実用画質内でビットレートを抑えたLT、更に画質を落として粗編集を目的としたProxyの3つが新たに追加。
・Apple ProRes 4444
・Apple ProRes 422(HQ)
・Apple ProRes 422
・Apple ProRes 422(LT)
・Apple ProRes 422(Proxy)
12bit/4:4:4はSony HDCAM SRを上回るスペックながら、HDCAM SRでのHD-SDIデュアルリンクによる10bit/4:4:4収録の際の880Mbpsどころか、アルファチャンネル無しの状態ではHDCAMの4:2:2(440Mbps)を下回る330Mbpsを実現しています。
※4:4:4と4:2:2の違いはこちら。
http://www.sony.jp/products/Professional/c_c/hdcam_sr/whats/feature_05.html
LTは推測ですがLiteのことと思われ、画質と長時間収録(ストレージの有効利用)の両立が求められるスポーツやマルチカムイベントなどに向けたもの。
※収録用途によって、というのは、Ki ProやIo HDなどのProRes対応のキャプチャーデバイスでの使用を想定しているのでしょう。
Proxyは「代理」ですから、最終的に高画質コーデックで置き換える前提でのオフライン編集用(今までのOffline RTと同じ目的)のものです。
※新しいProResファミリーの詳細(PDF、英語):ProRes White Paper – July 2009
・AVC-Intraに対応
2007年に発表された、Panasonicの業務/放送用カメラで採用されている「AVC-Intra」に正式対応。
●作業効率
・iChatシアターに対応
http://www.apple.com/jp/finalcutstudio/finalcutpro/collaboration.html
これは、キャンバス/ビューアの出力先をiChatシアターにすることができるというもので、iChatで作業画面を共有しながらライブでやりとりをできるようにするものです。
TCを表示することもでき、「タイムコードフィルタを適用したムービーを書き出してどこかのサーバーに書き出した圧縮ファイルをアップして、先方にメールで伝えてダウンロードしてもらい…」といった煩雑な遠隔プレビューを一気にシンプルなものにしてくれます。
●入出力関連
・自動転送
P2やXDCAMなどのファイルベースのカメラの素材は、カメラやメディアがMacにマウントされた時点で自動的にキャプチャー用ディスクにコピーされるようで、FCPへの読み込みもバックグラウンドで行なわれるのでその間編集を続行できます。
また、「切り出しと転送」では、いままでクリップごとに手入力していた撮影日やメモなどのメタデータをある程度自動で適用できるようになっています。
・Compressorに拘束されなくなった
・共有ウィンドウでの一括書き出し
シーケンスの書き出し先として、新たに「共有」ウィンドウが追加されました。
iMovie 08ではファイルの書き出しを「共有」と表現していますが、FCPでも同様になったんですね。
で、説明を見る限り、どうもこれはFCPの「バッチ書き出し」をより強化したもので、これを使ってもいいし、今まで通りCompressorを呼び出す方法も継続されるようです。
Compressorはバッチエンコーディングソフトを使ったことがないユーザーにはわかりにくく、敬遠されていた嫌いがありましたが、そのためにFCPからでも簡単にバッチが組めるインターフェースが追加されたんでしょうか?
そして、今までは「Compressorで書き出し」を行なうとCompressorでの処理が終わるまでFCPが拘束されていましたが、バックグラウンド処理に変更され、書き出し中もFCPでの作業を行なえるようになりました。
●インターフェースの改善
・タブの改善
インターフェースで大きく改善された点としては、まずカラー化されたタブが挙げられるでしょう。
FCP6までは、ブラウザ上で複数のプロジェクトやビンをタブ化した場合、どれも一緒くたにされていて、クリックして開いてみる以外には名前で区別するしかありませんでしたが、FCP7ではプロジェクトタブにアイコンが表示される他、タブをカラー化して区別しやすくなっています。
・マーカーの強化
マーカーもカラー化できるようになり、マーカー名で検索したりダイレクトに移動できるなど、マーカーにも機能が追加されています。
・大きなタイムコードウィンドウ
これは、かつて当サイトが「Final Cut Pro Unofficial」という名前だった頃、FCP3が出たあたりに「次これやろうぜ投票」という企画をやってたことがあり、その頃すでに要望に挙げたものでして、なんというか、感慨深いものがあります。Avidユーザーにとっては「何を今更」なんですけどね。
・マルチカムウィンドウ
製品情報に掲載されているマルチカムのウィンドウを見ると、ダッシュボード風の新しいデザインになっているようです。
・セーフゾーンの改善
地味ですが、HDのセーフティ内にSDのセーフティが表示されるそうです。
これにより、地デジとアナログ放送の関係のように、HDだけどテロップ類はSDのエリアに収めるのが容易になります。
●エフェクト関連
・「グローバルトランジション」(複数ポイントへのエフェクトの自動適用)
これは結構要望というか「できないの?」という質問の多かった機能で、選択した編集点またはシーケンス全体に対して一括でトランジションを適用できるようになりました。
・IN/OUTへの一括トランジション
新機能のビデオを見ると、クリップの中央にトランジションをドラッグすれば自動的にIN/OUT点にトランジションが適用されるようです。
・アルファトランジション
ワイプやディゾルブのキーイメージとして、アップルがデザインしたアルファ用のグラフィックを用いて印象的なトランジションを使用することができます。
「関連情報」ページから9種類のアルファトランジション素材が無料ダウンロードできます。
・「速度変更」ツールの改善
いまいちよくわからない、といった声も聞かれた速度変換ツールが改善され、多少?わかりやすくなったようです。タイムライン上でのタイムリマップの改善や、速度変更設定画面へのイーズイン/イーズアウトの追加など。
※このページの画像は、すべてアップル社のサイトまたは機能紹介ビデオのものです。
Compressor 3.5:簡易ながらBlu-rayに対応
Final Cut Studio (2009)ではDVD Studio Proのバージョンアップがなく、オーサリングツールでのBlu-rayディスク作成はできませんが、Compressor 3.5からBlu-ray対応のH.264ファイルの書き出しと、テンプレート及びFinal Cut Pro 7のチャプターマーカーを利用した簡易なBlu-rayディスクの作成が可能になっています。
※画像はこちらの解説ビデオより
※Final Cut Studioの名称表記をFinal Cut Studio (2009)に修正しました。2009.7.24
FCS (2009):店頭販売は7/25から
アップルストア銀座にて確認したところ、入荷は明日(09.7.25)の予定とのことでした。
直営店がこの日なので、他の量販店などもこれに準じて入荷されるのではないかと思います。
FCP UserNight 2009年7月23日:心斎橋
Final Cut Pro User Nightのお知らせ
2009.5.23(木)
アップルストア心斎橋
2Fシアター
『7月23日(木)AppleStore心斎橋店2Fシアター
19:00〜21:00 にて行われる、
FinalCutProユーザーナイトin心斎橋のお題は、
「AJA Ki Pro Across JAPAN Tour 2009 に乗っからせて頂きます!」
の巻です!』
AJA Video Systems 社樣から新たに販売される、
SDIやHDMIで接続可能なカメラから、
ダイレクトにApple ProRes 422で収録できる、
テープレスメディアレコーダー「Ki Pro(キープロ)」
http://www.aja-jp.com/kipro/
の実機を御持ち頂いて、その特長の解説と、
Final Cut Studioと組み合わせた、
シンプルで先進的なワークフローをご提案頂く、
AJA Ki Pro Across JAPAN Tour 2009
http://www.aja-jp.com/kiprotour.html
に乗っからせて頂いて、Ki Proイベント終了後、
質疑応答のお時間を少し頂くことになりました!
撮影時にApple ProRes 422素材を手にすることが出来る、
AppleのHD編集環境としては待望のレコーダーが、
実機で見れるチャンスです!
関西初じゃないでかな?
是非とも皆さん!
この機会を逃すことなく、奮ってご参加ください!
もちろん、
参加自由、当然無料です!
(心斎橋担当:hataboo氏)
FCPUG:Canon EOS 5D MarkⅡでミュージックビデオをつくる
約一年ぶりとなる、アップルストア銀座でのFCPUGイベントです。
映像関係からも、写真関係からも熱い注目を集めるカメラ、Canon EOS 5D MarkⅡ。
今回は「FCPUG at Apple Store, Ginza: Canon EOS 5D MarkⅡでミュージックビデオをつくる」と題して、全編このカメラを使って制作した音楽ビデオの制作過程を紹介しながら、今回の制作を通してわかった5D MarkⅡの実力と可能性や問題点、最新ファームウェア事情、そしてFinal Cut Proでのワークフローを探ります。
パネラー:
阿部雅之氏(FCPUG/株式会社アクエリアム)
中島剛氏(カメラマン/キヤノンEOS学園講師)
荒井孝治氏(カメラマン/キヤノンEOS学園講師)
松原雅人(FCPUG)
また、今回そのPVを制作したアーティスト・ChiyoTiaのミニライブも。
日時:
2009年6月13日(土)
19:00〜(スタートが10分ほど早まる可能性があります)
会場:
アップルストア銀座 3Fシアター
※参加無料・自由席
FCP UserNight 2009年5月21日:心斎橋
Final Cut Pro User Nightのお知らせ
2009.5.21(木)
アップルストア心斎橋
2Fシアター
『5月21日(木)AppleStore心斎橋店2Fシアター
19:00〜20:00 にて行われる
FinalCutProユーザーナイトin心斎橋のお題は、
「FinalCutProにこだわりません!ムービー制作Tips集!」
の巻です。』
ユーザーグループ参加メンバーとAppleStoreさんにご協力頂きまして、
3コーナーご用意致しました!
1.AppleStore心斎橋店 松見さんによる
「iMovie09新機能紹介」 15分
2.FinalCutProミニミニTips
ユーザーグループ参加者のmonjiさんによる、
ライブ収録素材で「マルチクリップ」使用例紹介 15分
3.ユーザーグループ参加者のおふうさんによる、
特集!
「ビクターハイビジョンハードディスクムービーGZ-HD7のワークフロー」
30分
となっております!
出来るだけ、映像制作の勉強会になるような
幅広い内容にしたいと思っておりますので、
FinalCutProだけにこだわらず、
Macの映像編集環境をテーマにしたいと考えています。
是非とも皆さん!
奮ってご参加ください!
もちろん、
参加自由、当然無料です!
(心斎橋担当:hataboo氏)
優先フィールドについて
インターレースビデオの優先フィールドについて、Final Cut Pro.jpの見解を書いておきます。
今現在販売されている各種ノンリニアシステムについて、結論からいえば、以下のようになります。
●過去の640×480キャプチャーデバイス・コーデック=システムによって異なる。
●D-1*=システムによって異なる。FCP6では「下」、EDIUS 3(VELXUS)「上」など。
*(ITU.Rec 601をベースとするNTSC720x486サイズおよび同PALのSDビデオ)
※現在主流とされるのは「下」であるが、念のため確認が必要
※FCPでは、プリセットされているSD(D-1/DV)のすべてのコーデックは「下」
※参考:「HD/SDの優先フィールド」●DV=どのシステムにおいても「下」
●HD=どのシステムにおいても「上」
■この技術情報が何に関係するのか
実務上関係してくるのは、次のような場合です。
・インターレース、特にSDサイズ(NTSC/PAL)を使用する作品
・いずれかのノンリニアで取り込んだムービーを別のノンリニアでそのまま使用するとき
・CGアプリケーションやAfter Effectsなど、コンピュータで作成したムービーを特定のノンリニアで使用するために書き出す場合
・HD/SDが混在する作品
ここからは、その根拠となる考察と検証です。
■インターレースについて
インターレースについての基礎的な部分はこちらを参照ください。
・FCP6マニュアルP1869「スキャン」
・Wiki「走査」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%B0%E6%9F%BB
■優先フィールドとは
デッキやカメラ、キャプチャー機器(コーデック)がF1→F2の順で1フレームを描くか、F2→F1の順で描くかによって、1フレームの中でF1とF2の時間的な前後が入れ替わるため、ムービーと再生システムのフィールドの順序が合っていないと正しく再生できない(画面内で物体が移動する場合に正常な動画でなくなる)。この「どちらが先に描かれるか」が優先フィールドとなる。
※優先フィールドが合っていない場合、動画が(29.97fpsの場合)約1/30秒ごとに「二歩進んで一歩下がる」ので、「ガタガタになる」「カクカクする」といった表現をする場合が多い。
※ブラウン管、およびデッキやカメラのNTSC/PALおよびHDの1080i60の出力をつないだ液晶ディスプレイ(インターレースモード)で表示する場合に顕著にわかるが、FCP(ならびにインターレースをシミュレーション表示しない通常のノンリニア)の編集画面では見かけ上プログレッシブとなるので気づかない場合があることに注意。
※優先フィールドが入れ替わってもF1とF2を足した1枚のフレームには変わりないので、時間に関係ない静止画面(物体が移動しない箇所)では見かけ上特に変化はない。
(2009.5.2修正)
詳しくは
・FCP6マニュアルP1870「優先フィールドについて」
を参照下さい。
■「優先フィールド」の別名
Final Cut Proでは「優先フィールド」という言葉を使っていますが、他のシステムでは別の呼び方をしているものがあります。
・優先フィールド(filed dominance)
・フィールドドミナンス(field dominance)
・フィールド順(field order)
・フィールドオーダー(field order)
これらは実質的に同じ事を意味します。
■優先フィールドの決まり
●少なくともD-1においては、規格上、特にどちらという決まりはない
●決まりがないので、優先フィールドはキャプチャーデバイスによって異なる
●つまり、実際にはキャプチャーデバイスから受け取ったコーデックに関係し、ビデオファイルの優先フィールドが決まる
●編集〜出力というプロセスの中で、出力デバイス(通常はKONA、DeckLinkなどのキャプチャーデバイス)と出力されるムービーストリームの優先フィールドは合っていないといけない
※SDI接続の場合、機器間を流れるのは(映像に於いては)汎用的な非圧縮D-1デジタル信号であり、Digital Betacam、DVCAM、DVCPROなど機器のテープ上のコーデックに依存しない。このため、SDIを介した機器のそれぞれで受け取る際に優先フィールドを決定していると理解できる。出力の際もデバイス内で決められた優先フィールドに従ってコーデックをデコードしてSDIに変換するため、ムービーの優先フィールドはこれに合っていないといけないと解される。(2009.5.2追記)
※アナログソースのキャプチャーでも、汎用アナログ映像信号を受け取ってデジタルコーディング(デジタイズ)を行なうのはキャプチャーデバイスであり、これ以降でビデオデータの優先フィールドが決定される。(2009.5.2追記)
●DVにおいては、IEEE1394を通じて機器の世代やOSに関わらずテープからダイレクトにDVストリームを取り込んで編集し、正しく出力できる。これはいわばデータコピーであり、テープ上で優先フィールドを持ったビデオデータをそのまま転送するだけである(iMovieではDVストリームの転送、Final Cut ProではQuickTimeでラッピングされる)。従って、事実上「キャプチャーデバイスはDVテープ」であり、テープ上に記録されるDVストリーム自体の優先フィールドが各種DV互換コーデックの優先フィールドの基準になる。そして、それは「下」となっている。(2009.5.2加筆)
●HDにおいては、文献は未確認であるが、事実上は(各ノンリニアの仕様を見る限り)一律で「上」とされている模様
■優先順位の呼び方
二つのうちのどちらが優先かを分けるための言い方にも、いくつか種類があります。
・奇数/偶数優先(Odd/Even field first)
・上/下優先(Upper/Lower first)
・トップ/ボトムファースト(Top/Bottom first)
・第一/第二フィールド優先(F1/F2 dominant)
いずれも、同じ意味です。
ただし、具体的に何を示すかは用語の定義を明確にする必要があります。
以下にそれを示します。
■奇数/偶数とは?
インターレースビデオのフィールドを示す際、いくつもの呼び方が存在します。
・第一/第二フィールド
・F1/F2
・Field1/Field2
・トップ/ボトムフィールド
・奇数/偶数フィールド
・上(Upper、Top)/下(Lower、Bottom)
・A/B
ノンリニアシステムの世代やアプリケーション、また映像との関わりなど経験によって変わってきますが、特に早くからビデオの世界に関わっているユーザーほど多くの種類を見たことがあると思いますが、いずれも同じものを指します。
そして、ビデオの変遷の中でこの定義が入れ替わっている事があり、一部で混乱を招いている場合があります。
そこで、今現在(2009.4.30)のSMPTEの規定を示しておきます。
※規格副題「M/NTSC並列〜」の「M」とは、SMPTEの125Mに『ITU-R BT.601をベースとしたシステムM(525/60)コンポーネントデジタルテレビジョン機器のインターフェース』とある通り、いわゆるD-1を示します。
過去の情報や基準を用いると錯綜するために規格が存在しますので、現行の最新規格を基準とする場合、こうなります。
・第一フィールド=ライン1を含む側=奇数フィールド
・第二フィールド=ライン1を含まない側=偶数フィールド
※従って、一部でいわれるような「第一フィールドは偶数」というのは現在のSMPTEの規定から外れるものであり、SMPTEを基準として認識している人たちに誤解を与えることになりますが、明確に間違いです。
※また、これは244M-1995の改訂とのことで、1995の内容は未確認ですが、少なくとも2003年に改訂されたものだ、というのもその前後で認識が異なる場合があるのかもしれません。
■上/下とは?
・SMPTEにおける走査線の始まりは「左上開始」が基準です。
・SMPTEでは、ライン1からスタートする第一フィールドの前に<ライン0やフィールド0>というものは存在しないので、第一フィールドのライン1が起点となります。
・定義上の開始点は第一フィールド(奇数、ライン1)で、第二フィールドはその下の偶数ラインを走査するので、
「フィールド1=上(トップ)」
「フィールド2=下(ボトム)」
となります。
これは、Adobe AfterEffectsをお持ちなら次のテストファイルで確認することができます。
1.このムービーは、Photoshopで720×480サイズの制止画を作成し、黒い背景の一番に縦1ピクセルの白い横線を描いてTIFFで保存、FCPに読み込み、10フレームのDV-NTSC(QuickTime)で書き出したものです。つまり、トップである「ライン1」だけに線が描かれている状態です。
2.ムービーをAfterEffectsに読み込みます。
3.「偶数優先」でフィールド分割をします。
4.プレビューパネルに表示し、コマ送りをしてみます。
…「偶数優先」で一番はじめのコマ(フィールド)に線が見えなければ、一番上(ライン1)が見えていない、つまり第二フィールド(偶数)は「下」ということになります。
※動きのあるムービーなら、テストファイルでなくても同様の方法で画面全体が上下するを確認できます。「偶数優先」ではじめのコマの画面全体が下、次のコマで上に動けば、偶数フィールドが下となります。
参考:AfterEffects CS4での操作方法
「元のフィールド順を判別する」
http://help.adobe.com/ja_JP/AfterEffects/9.0/WS3878526689cb91655866c1103906c6dea-7f35a.html
以上のことから、奇数/偶数、上/下の考え方は固定で、特にD-1の優先フィールドのいずれかは特に根拠はなく、システム(設計メーカーの考え方)によることがわかります。
※「第一フィールドから続いて最下段の0.5H後半が第二フィールドのトップラインに来るため、この行から数え始めればライン1は2行目なのでこちらが偶数とも取れ、奇数/偶数という言い方は混乱する」「アナログ波形で偶数ラインが先に来るので、先に来る方が第一フィールドで偶数」また、「有効ラインの取り方によって奇数や偶数、優先フィールドの上下が決まる(よってD-1は下)」というような解釈があるようですが、こうした異なる解釈に対して実態を明らかにするべく今回の調査とまとめを行ないました。
■FCPマニュアルの間違い
FCPのマニュアルでは、初期の頃から「業務用486およびDVは下」と書かれています。(ちなみに4は確認できていませんが、FCP3のマニュアルでは「優先フィールドはキャプチャーハードウェアによって違います」とも書かれています。)
そして、FCP6では次のような記載になっています(P1871)。
A:たとえば、DV NTSCとDV PALの優先フィールドは常に「下(偶数)」です
B:「Final Cut Pro」では、優先フィールドに2つのオプションがあります:
・「上」(フィールド2 が優先されるので、第2 フィールドが最初に描画されます)
・「下」(フィールド1 が優先されるので、第1 フィールドが最初に描画されます
Aでは「偶数=下」といっている(実際の設定画面でも同じ)にもかかわらず、Bでは「下=フィールド1」とされています。フィールド1はSMPTEでは奇数で、これに従えば「下=奇数」となってしまいますし、上記の実験と逆の結果になるはずです。
この部分は間違いであり、訂正されるべきでしょう。
【2017.4.15追記】
2009年当時このエントリーを書こうと思ったきっかけが、EDIUSWORLD.COM(当時edius.jpだったと思う)さんの「インターレースとフレームレート」という記事でした。
約8年経った今現在も同じ内容が変わらず掲載されているんですね。懐かしい。
<引用>
フィールド
1回分の走査によって描かれる画を「フィールド」とよびます。1フレームは2フィールドで成り立っています。
フィールドには、偶数番目のフィールド(Even Field)と奇数番目(Odd Field)のフィールドがあります。しかし「偶数・奇数」は、一番上のフィールドを「0」と数え始めるか、「1」と数え始めるかで逆になってしまいます。ソフトウェアによって、数え方が逆になっている場合があるので注意が必要です。 もしこれが逆になってしまうと、両フィールドを足して作られた映像の形が崩れてしまいます。
フィールドの上下が逆
より安全な言い回しとしては、「上位フィールド(Top Field)・下位フィールド(Bottom Field)」というものがあります。こちらの呼び方なら、一番上のフィールドが上位だということがはっきりします。このテキストも、以下は上位・下位と書いていきます。
「一番上のフィールドを0と数えるか1と数えるかで」とある部分に違和感を覚えて調べた結果がこのエントリーなのでした。
Video Power 2009
アップルジャパン株式会社
ビデオの魅力を体験できる『Video Power 2009』
Apple Store, Ginza、Apple Store, Shinsaibashiで開催。
http://www.apple.com/jp/event/videopower2009/
あらゆるプロフェッショナルなニーズに対応するFinal Cut Studio 2をご紹介します。撮影や取り込みのソリューションにお応えできるよう、各カメラメーカーも出展。実機体験や質疑応答が可能なブースもご用意します。また、Final Cut Studioと親和性の高い17インチMacBook Proの新製品もご案内します。ぜひご参加ください。
日時/開催場所
3月10日 (火) 17:00 – 20:00 Apple Store, Ginza
3月19日 (木) 17:00 – 20:00 Apple Store, Shinsaibashi