Final Cut Pro 7:新機能、改善ポイント
アップルの製品情報「Final Cut Studioの新機能」などを参考に、Final Cut Pro 7の主立った新機能や改善点をざっと見てみましょう。
●コーデック関連
・ProResコーデックが拡張
http://www.apple.com/jp/finalcutstudio/finalcutpro/apple-prores.html
ProResファミリーに、12bit/4:4:4:4(RGB+アルファチャンネル)に対応した4444と、実用画質内でビットレートを抑えたLT、更に画質を落として粗編集を目的としたProxyの3つが新たに追加。
・Apple ProRes 4444
・Apple ProRes 422(HQ)
・Apple ProRes 422
・Apple ProRes 422(LT)
・Apple ProRes 422(Proxy)
12bit/4:4:4はSony HDCAM SRを上回るスペックながら、HDCAM SRでのHD-SDIデュアルリンクによる10bit/4:4:4収録の際の880Mbpsどころか、アルファチャンネル無しの状態ではHDCAMの4:2:2(440Mbps)を下回る330Mbpsを実現しています。
※4:4:4と4:2:2の違いはこちら。
http://www.sony.jp/products/Professional/c_c/hdcam_sr/whats/feature_05.html
LTは推測ですがLiteのことと思われ、画質と長時間収録(ストレージの有効利用)の両立が求められるスポーツやマルチカムイベントなどに向けたもの。
※収録用途によって、というのは、Ki ProやIo HDなどのProRes対応のキャプチャーデバイスでの使用を想定しているのでしょう。
Proxyは「代理」ですから、最終的に高画質コーデックで置き換える前提でのオフライン編集用(今までのOffline RTと同じ目的)のものです。
※新しいProResファミリーの詳細(PDF、英語):ProRes White Paper – July 2009
・AVC-Intraに対応
2007年に発表された、Panasonicの業務/放送用カメラで採用されている「AVC-Intra」に正式対応。
●作業効率
・iChatシアターに対応
http://www.apple.com/jp/finalcutstudio/finalcutpro/collaboration.html
これは、キャンバス/ビューアの出力先をiChatシアターにすることができるというもので、iChatで作業画面を共有しながらライブでやりとりをできるようにするものです。
TCを表示することもでき、「タイムコードフィルタを適用したムービーを書き出してどこかのサーバーに書き出した圧縮ファイルをアップして、先方にメールで伝えてダウンロードしてもらい…」といった煩雑な遠隔プレビューを一気にシンプルなものにしてくれます。
●入出力関連
・自動転送
P2やXDCAMなどのファイルベースのカメラの素材は、カメラやメディアがMacにマウントされた時点で自動的にキャプチャー用ディスクにコピーされるようで、FCPへの読み込みもバックグラウンドで行なわれるのでその間編集を続行できます。
また、「切り出しと転送」では、いままでクリップごとに手入力していた撮影日やメモなどのメタデータをある程度自動で適用できるようになっています。
・Compressorに拘束されなくなった
・共有ウィンドウでの一括書き出し
シーケンスの書き出し先として、新たに「共有」ウィンドウが追加されました。
iMovie 08ではファイルの書き出しを「共有」と表現していますが、FCPでも同様になったんですね。
で、説明を見る限り、どうもこれはFCPの「バッチ書き出し」をより強化したもので、これを使ってもいいし、今まで通りCompressorを呼び出す方法も継続されるようです。
Compressorはバッチエンコーディングソフトを使ったことがないユーザーにはわかりにくく、敬遠されていた嫌いがありましたが、そのためにFCPからでも簡単にバッチが組めるインターフェースが追加されたんでしょうか?
そして、今までは「Compressorで書き出し」を行なうとCompressorでの処理が終わるまでFCPが拘束されていましたが、バックグラウンド処理に変更され、書き出し中もFCPでの作業を行なえるようになりました。
●インターフェースの改善
・タブの改善
インターフェースで大きく改善された点としては、まずカラー化されたタブが挙げられるでしょう。
FCP6までは、ブラウザ上で複数のプロジェクトやビンをタブ化した場合、どれも一緒くたにされていて、クリックして開いてみる以外には名前で区別するしかありませんでしたが、FCP7ではプロジェクトタブにアイコンが表示される他、タブをカラー化して区別しやすくなっています。
・マーカーの強化
マーカーもカラー化できるようになり、マーカー名で検索したりダイレクトに移動できるなど、マーカーにも機能が追加されています。
・大きなタイムコードウィンドウ
これは、かつて当サイトが「Final Cut Pro Unofficial」という名前だった頃、FCP3が出たあたりに「次これやろうぜ投票」という企画をやってたことがあり、その頃すでに要望に挙げたものでして、なんというか、感慨深いものがあります。Avidユーザーにとっては「何を今更」なんですけどね。
・マルチカムウィンドウ
製品情報に掲載されているマルチカムのウィンドウを見ると、ダッシュボード風の新しいデザインになっているようです。
・セーフゾーンの改善
地味ですが、HDのセーフティ内にSDのセーフティが表示されるそうです。
これにより、地デジとアナログ放送の関係のように、HDだけどテロップ類はSDのエリアに収めるのが容易になります。
●エフェクト関連
・「グローバルトランジション」(複数ポイントへのエフェクトの自動適用)
これは結構要望というか「できないの?」という質問の多かった機能で、選択した編集点またはシーケンス全体に対して一括でトランジションを適用できるようになりました。
・IN/OUTへの一括トランジション
新機能のビデオを見ると、クリップの中央にトランジションをドラッグすれば自動的にIN/OUT点にトランジションが適用されるようです。
・アルファトランジション
ワイプやディゾルブのキーイメージとして、アップルがデザインしたアルファ用のグラフィックを用いて印象的なトランジションを使用することができます。
「関連情報」ページから9種類のアルファトランジション素材が無料ダウンロードできます。
・「速度変更」ツールの改善
いまいちよくわからない、といった声も聞かれた速度変換ツールが改善され、多少?わかりやすくなったようです。タイムライン上でのタイムリマップの改善や、速度変更設定画面へのイーズイン/イーズアウトの追加など。
※このページの画像は、すべてアップル社のサイトまたは機能紹介ビデオのものです。