特徴と欠点
<この記事は>
FCPの特徴と欠点を見てみましょう。
私自身が感じていることのほかに、書籍やユーザーの方のご意見も交えて挙げてみます。
特長 | |
●Apple製であること… | |
ハードとソフトの相性 | Apple製であるということは、MacOS/Mac本体の構造を踏まえて開発されている、つまりハードとソフトの相性がよいことに他なりません。 |
優れたインターフェース | Apple 製であることと、後発であることから、インターフェースは見た目にもセンスを感じさせます(クリエイティブなことを行うツールとしては、これ結構大事です よね)。おおもとのコンセプトはマクロメディアのデザインですが、それをアップルのガイドラインに沿ってよくまとめられてます。 |
安定している | いくらスペックの高いマシンや高価なソフトを使っていても、年中トラブルが発生していては全く意味がありません。OS自体の安定性という問題もあります が、それは環境の構築次第で何とかなります。OSが安定しているとして、編集ソフトはどうなのか?というところを見ると、(Premiere5.0までを 使っていましたが)経験上、長尺ものになるほど処理が重くなったり意味不明のファイルを大量 生産したりと、とにかく中断・ストレスが多かったのに比べ、2時間ものでもフツーに動いてくれます。FireWire搭載のG3/G4マシンに限定してい る結果 でしょう。Premiereも6.0ではかなり安定しているようですが、それだけでPremiereを選ぶというほどではありません。 |
QuickTimeネイティブ | QuickTimeの開発元であるAppleが、QuickTimeをフル活用するアプリケーションをつくっているのですから当然といえば当然ですが、どのくらいネイティブかというと、正式発表前の最新バージョンをバンドルしてくるぐらいネイティブです(笑)。 |
Velocity Engine対応 | PowerPC G4に搭載された演算回路のVelocity Engineに対応いてますので、 G4プロセッサー搭載のMacでは(いくぶん?)レンダリングが高速化されます。 |
Photoshopレイヤー対応 | グラフィック編集/加工ソフトの世界標準であるAdobe Photoshopのファイルを、レイヤーを保持したままシーケンスとして読み込むことが可能です。 |
AfterEffectプラグイン対応 | 加工/合成に特化したAdobe AfterEffectsには様々なサードパーティーのエフェクトプラグインが登場していますが、全てではないものの、そのままFCPに流用することが可能です。 |
Final Cut Proとはどんなソフトか?

<この記事は旧Fina Cut Pro Unofficialにて2001年6月に公開した記事を加筆・修正して転載したものです。>
Final Cut Pro(FCP)は、アップルコンピュータ社のデジタルビデオ編集ソフトです。
もともとはMacromedia社において、”Key Grip”というコード名で、元Adobe Premiereの設計者によってMac/Winのクロスプラットフォーム(複数のOS)向けに開発されており、Final Cutという名前でリリース予定でしたが、途中でソフトと開発エンジニアがAppleに買収され、1999年に”FinalCutPro”として英語版1.0が、遅れて99年の暮れに英語版1.2と日本語版1.2が発売されました。
*詳しい歴史はこちら(MacDTV.com「Final Cut Pro登場までの長い道…」)をご覧下さい。
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Macromediaからの発表当時のFinal Cut (“Key Grip”)の開発中の画面(当時のZDNetより)。
洗練度は格段に違いますが、分割ウィンドウや編集オーバーレイなど、基本的にコンセプトはほぼ同じですね。
「Macromediaのアイディア」と「Appleのセンス」の合作というか、買収されて良かったというか(^_^;)、 結果は良かったと言えるでしょう。 (クロスプラットフォームはどこかに行ってしまったようですが。 )
Trinityは、日本ではNewTek社製品も扱うメメックス社から販売されています。
一方Macでは、小さいサイズの画面ながら早い時期からビデオキャプチャー(取り込み)機能を搭載したり、何よりAppleの一大資産であるQuickTimeという画期的なマルチメディア技術を開発、パソコン上でビデオを編集・加工するという概念を取り入れてきました。 「パソコンでグラフィック/ビデオといえばMac」というイメージは近年まで一般 的でした。そしてそれを裏付けるかのようにAvid社がMacベースの編集ソフトを開発、仮編集画質ながら、「ノンリニア編集」の歴史は Macから始まったといっても過言ではありません。
*コンシューマーの視点からの当時の歴史はこちら(MacDTV.com:佐藤さんのDTV遍歴 )をご覧下さい。
(とDTVの歴史を紹介するコーナーでも無く、私の歴史も知識も浅いので)時は流れて(笑)近年まで(Windows版が登場してから)AdobePremiereが汎用ノンリニアソフトの代名詞となっておりました。Premiereのいいところ、それは汎用性。ハードとの組み合わせ次第でCD-ROMやWEB用のコンテンツ編集から放送用のビデオ編集までこなしてくれ、機能もバージョンごとに(気長に)アップしてきました。
しかし、その汎用性にも、WindowsというOSと同じく諸刃の刃的な悪い面があり、気が遠くなるほどの多数の種類や品質のハード、ソフトとの組み合わせには、ソフトの側では到底対応しきれません。その上Premiereは、その処理の過酷さ故に、パソコンの性能が上がった今日でさえ未だにどことなく「不安定なものである」映像を扱ったソフトであるだけに、本当に安定した環境で動いているPremiereは稼働数からいってもほんの一握りなのではないでしょうか。
それでも機能や予算面で多くのユーザーにとってはPremiereしか選択肢の無かった時代が数年続き、Avid Videoshop(現STRATA DV)やEditDVの登場にもめげず、良くも悪くも定番であり続けたPremiereに対し、会社自体の存続も危ぶまれたりと波瀾万丈の(^_^;)経緯を経て、(その間に「マルチメディアネイティブ」の座をWindows陣営に奪われた感のある)アップルが、未だその健在ぶりを示すべく万を持して登場させたのが、FCPだったのです。
Final Cut Pro User Night-Ginza
2006.1/18、19:00より
アップルストア銀座3Fにて。