○千崎達也さんの1/5圧縮 on theweb が10/1に更新されてます。

<この記事は旧Fina Cut Pro Unofficialにて2001年10月4日に公開した記事を転載したものです>

コンピュータ物づくり話」、興味深く読ませていただきました。確かに、編集マンが編集機を叩いて、手を放した瞬間からべーカムがキューアップして、タリーがついてつないだ画がレコーダーモニターに出るまでの「間」、みたいなのってありますよね。いろんな機材が連動して、人も機械も編集に参加してる感じと、一カットつなぐのにかかる時間が長いから、しっかりオフラインで組み立てて、「基本的にこの編集で行くぞ」みたいな、「遡ってなおせない」緊張感が、リニア編集にはありますよね。長尺で頭の方をなおすとなると「おいおい1H行って来いだよ〜」みたいな(笑)。GPIでなく手動で叩いてのテロップ入れなんてのも、リニア編集ならではで。白完作って、それを出しにしてテロップ入れ、という「テロップは後から入れるもの」という流れも、どこからでも直せるノンリニアにはないものです。(ノンリニアでEDLや白完作って編集所で完パケることは多いかもしれませんが、その場合は本編はリニア編集の世界に移っていくわけで…)そうやってつくる編集は、完成したときの達成感も確かに違う気がします。個人的には適材適所でいいと思いますし、何がいいとか悪いわけではないですが…

しかし一方で、リッチコンテンツ/ブロードバンド時代には、ちょっとした事務所に何台か編集PC(下手するとVAIOとか)を置いて、ちょちょっとDVで撮ってきた素材を、やっとメールが打てるようになったくらいのバイトくんに編集させて(あ、実際やってらっしゃる方、お気を悪くしないでくださいね)、バッチでエンコードしてブロードバンド回線で納品、なんてことをするにはノンリニアマシンは最適なのでしょう。その日の撮って出しのイベントレポートや既存映像の尺調/テロップ入れくらいで高い編集所を使うわけにもいかないですしね。ノンリニアによるコストダウンは大きいでしょう。

それと、リニアではあり得なかった映像というのもここ数年で溢れかえるようになり、それはそれで独自に発展しています。

個人やSOHOにおいては、パソコンとDVカメラや素材さえあればビデオ編集環境が構築できるっていうところが、iMovieを皮切りとするパーソナルノンリニアブームのポイントだと思うのですが、そういう人たちにはパソコンの編集しか経験がないわけで、ノンリニアも全く違和感のないものでもあります。私も紙面 のレイアウトはパソコンでやるものだと思ってるDTP世代で(^_^;)、逆に言うとDTPやDTVで間口が広がったともいえるわけですが、 そうすると、パソコンなんてない時代から長年映像制作に携わってこられた方のご意見というのはますます貴重になっていくことでしょう。得るものと失われるものは何についてもあるわけですが、「言われてみると確かにそうだよな〜」と思いつつ読ませていただきました。

そんな私も、ちょっと方向は違いますがパソコンが編集に取り入れられて変わったな、と感じてるのが、テロップのフォントです。制作会社さんがテロップ屋さんに発注して焼いてもらってくる紙テロップは、(私は社内テロッパー(笑)現役時代、ドキュメンタリーや報道なんかが担当の中心だったので)ゴナやナールといった書体が一般 的だったのですが、「パソコンでウチでもテロップが打てますよ〜」と言ってみると、写 研社のゴナナール(勝手にリンクさせていただいてます)で発注をいただくわけです。しかし、写 研社はパソコン用にフォントを出してませんから、似たような書体を用意しなくてはなりません。ところが、ゴナと似ているモリサワ社の新ゴフォント(一悶着ありましたね)は印刷用のPostScriptだし、テロッパーソフトで読めるTrueTypeでなおかつ安くてライセンス的にも敷居の低いダイナラブ社のダイナフォントの「平成」書体(平成ゴシックや平成明朝)を使っていました。ちょうどゴナDBが平成ゴシックW5あたりですね。Dナールは丸ゴシックMとか…

しかし、平成書体とゴナ/新ゴ系で決定的に違うところがありまして、ゴナ系は和文2バイト書体と英数書体の天地(高さ)が同じなのに対して、平成系は半角英数(1バイト)の高さが低いんです。ワイドショーや夕方のニュースなんかでは、平気で平成フォントをまんま使っているのをよく見るようになりまして、(最近どこでもパソコンで打ってるな〜と思うと同時に)私これが気になっちゃって、ある種のこだわりからか、時間がある限り英数部分の級数とベースラインを変えてひたすら文字列の高さを均等にしてました(笑)。ニィス社のJTCウィンシリーズなんかは英数と2バイトの高さが均一なのでたまに使ってましたが、ちょっとポップ書体系の要素が入ってて、汎用性には欠けます。探してみると、天地の高さが均等で汎用性のあるゴシックや明朝のTrueTypeフォントって、無いんですよね。

とまあDTPやDTVの普及でいい面も悪い面もありつつ文化の変遷があるわけですが、新技術が日進月歩で登場し、各業界も生き残りに必死だと思います。大手印刷屋さんは早くからデジタルコンテンツを取り入れてきましたが、写植屋さんがめっきりなくなったようにテロップ屋さんもなくなるのかと思えば、テロップ屋さんはいまではDVD用の字幕ファイルを作ってくれるんですね…。

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