ダイキン工業AfterNABセミナー

アップル製品/Macと直接関係ありませんが、BDオーサリングの動向とScenarist BD 4.5の内容を確認するため、品川のダイキン工業で2008.5.21に行われたAfter NABセミナーに行ってきました。


■Scenarist BD Edition 4.5
Sonic Solutions社のCINEVISION エンコーダーの紹介の後、Scenaristの最新版の説明がありました。

基本となるSonic Scenarist BD はver.4.5となっており、細かい部分でのGUI化の詰めやバグフィックスが行われています。

メインとなるScenarist BDは、動作的には従来のDVDの延長にある、HDMVタイトルのセル単位でのフルオーサリングに対応。

大きな意味でのワークフロー的には従来のSD版のScenaristと同様の守備範囲で、エンコードやリサイズなどの準備が完了した素材をインポートし、ビデオ、オーディオ、静止画などを組み合わせたストリームの作成、メニューの作成、ボタンリンクおよびコマンドの設定等を行うなど、BD-ROMに収めるビデオコンテンツ(アプリケーションレイヤー)全般の構成編集を行い、制作過程でのエミュレーションおよびBD-Rやプレスマスターとなるイメージファイルを書き出すことができます。

BD Editonの特長としては、内蔵の”Blu-ray制御エンジン”により、オーサリング内容全般への規格準拠のチェックを行い、オーサリングソフトの段階でのエラーを監視、完成ディスクの互換性維持への信頼性を高めているとのこと。

加えて連番の静止画ファイルによるポップアップアニメーション・メニューやボタン操作時の効果音付与、PinPなどBD-JのBonus Viewの基本的な部分をオーサリングするためのAdobe Flashの編集画面に似たキーフレームインターフェースを持ちます。

そして、Photoshop CSのプラグイン”Photoshop シナリストデザイナー”によって、Photoshop上でBD-Jメニューの構成要素をデザインし、Scenarist BD用に書き出すことで、現状でもBD-Jの特長を活かしたメニューデザインが比較的容易に行えるようになっています。

また、DB-Jのより高度なJavaプログラミングやコピープロテクション関連の処理にはScenarist BD-Jアプリケーションを使用し、スクリプトを書き出してScenarist BDに戻すスタイルとなっており、現在Scenarist BD-JのGUI化を進めているとのことでした。

BDタイトルのプレスへの納入については、現在USBハードディスクにCMFを保存するのが通例だが、プレス工場では保存の義務があるためドライブが帰ってこない例が多く、将来的にBD-Rにも対応されるようになるだろう、とのこと。

ちなみにScenarist BDのお値段は、だいたいGT-Rのプレミアムエディションが一台買えるくらい です。

■Flash BD-Jコンバータ
メニューに関してはサードパーティーのASV 社から現在開発中の”Flash BD-Jコンバータ”の紹介がありました。

これはインタラクティブ・メニューをAdobe Flashでデザイン/オーサリングした内容を一枚のPNGグラフィックとJavaソースコードに変換して書き出すもので、FlashデザイナーがFlash上でグラフィック要素のアニメーションやボタン・イベントを仕込んだものをそのままBDタイトルに使用できるというもの。

書き出されたソースをScenarist BDに読み込んで、リンク先などのコーディングを行います。

前述のPhotoshop Scenarist Designerでの手法に比べて圧倒的にアニメーションクオリティの高い、Webコンテンツで一般的になっているレベルの動きや処理を施したポップアップ・メニューをJavaプログラミングや煩雑な画像ファイルの管理なしに使用できるため、特に映画系やメジャー作品ではかなりデザイン性やアニメーション性の高いメニューが採用されたBDビデオ作品が出てくると思われます。

なお、これがScenarist向けに特化したものなのか将来順次登場するBDオーサリングツールでも使用できるものなのかは確認できませんでしたが、個人的にはこのような高品質なBD-Jメニューの作成環境に大いに期待したいところです。

参考:SYSTEM 5「2008 NAB Show(NAB2008) スペシャルレポート (4/16)」

■DVD On Demand
そのほか、Sonic社からSD-DVDに関する興味深いソリューションの説明がありました。

既に発表されている「DVD On Demand」がかなり具体的になっており、SonicとPioneerで進められているDVD-RコンテンツへのCSSコピープロテクションの書き込みに関する技術/ライセンスプログラム”Qflix “をRimage 社のデュプリケーター〜プリンター一体型の筐体に組み込んだEPSON製のキオスク端末が紹介され、会場にもデュプリケーターのデモ機が設置されていました。
※米国では実質的なアンチリッピングというよりは法的な根拠としてのCSSの適用が重視されているとのこと。

プリンターはプレスによるシルク印刷に近く、インクジェットと差別化した品質を実現しているとのこと。

また、デュプリケーターは(容量にもよるが)小ロット受注のサービスを行う場合はQflix DVDの複製〜印刷までを一晩9時間として約300枚行うことができ、自動化により低コストでの複製サービスを行えるとしています。

DVD On Demandには「受注生産による小ロットの無人デュプリケーション〜デリバリー」「店頭でのタイトル選択〜店内でのDVD-Rのオンデマンド作成・受け取り」「家庭での注文、ディスクイメージのダウンロード、DVD-Rへの書き込み」という3つのビジネスモデルが想定されており、プレス/パッケージ/流通を省略できるため、コンテンツホルダーとしては絶版作品の再販やコスト的にDVDパッケージ化されなかった作品などもオーサリング工程のみでロングテール販売することが可能になります。

なお、オーサリングスタジオ側ではScenaristでのオーサリングを行い、Qflixパートナー企業によってCSS、マクロビジョンのRip-Guard等のプロテクションの組み込みを行ったイメージが作成されるとのこと。

また、プレスディスクに匹敵する再生互換の確保のため、メディアメーカーとの研究やDVD On Demand推奨品への認証プログラムなどに取り組んでいるそうで、全体的に7月の実サービススタートに向けて順調に進んでいるようです。

参考:ASCII「日本では2008年7月に解禁――ソニックが「Sonic Qflix」の説明会を開催」

詳細はSonic Solutions社まで
http://www.sonicjapan.co.jp

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