Blog

Final Cut Pro Xは6月リリース、Mac AppStore経由で299ドル

2011年4月12日(日本時間で4月13日午前)にラスベガスで開催された「FCPUG SuperMeet 2011」にて、Final Cut Pro Xが発表されました。

詳細は調査中ですが、64bit化や4K対応など予想通りの内容に加え、10年目にしてUIがiMovieライクに激変。

6月にMac AppStore経由で299ドルで販売開始という(想定外の)展開になる模様。

Final Cut Pro X-FCPUG SuperMeet 2011

【速報】
LiveBlog:
http://www.photographybay.com/2011/04/12/final-cut-pro-user-group-supermeet-liveblog/

Ustream:
http://www.ustream.tv/channel/foxtrotyankee

画像:
Apple Announces Final Cut Pro X At Supermeet

CS5 Switchキャンペーン

さて、10月の開始時から当サイトでも右上にバナーを掲載しておりますAdobeの衝撃的な”CS5 Production Premium Switchキャンペーン”。

期間はあと数日(Inter BEE 2010の最終日まで)ですが、すこしPRONEWSに書いてます

記事執筆の途中でシリアルナンバーの申請だけでもよくなっていたようで若干編集部から注釈が入っていますが、しかしシリアルナンバーだけでもいいってことはつまり・・・

ともかくそういうことですので、キャンペーンの内容は要チェックですよ!

バージョン情報追加

「FInal Cut Pro→バージョン/アップデート」に7.0.1〜7.0.3のリリースノートの内容を追加しました。

「THE COVE」を観てきました

IMG_4461

先日試写会でドキュメンタリー映画「THE COVE」を観てきました。



#当サイトでは元々ブログ形式で硬 軟・公私織り交ぜた内容をつらつら書いていた経緯がありますので、今回も本題と関係ない事を書きます。

和歌山・太地(たいじ)で古くから行われているイルカ漁を巡って、ひとりの元・イルカ調教師を中心とする愛護集団が、イルカ漁をやめさせようという試みのもと、漁の実態を自分たちの主張とともに映像に納めて公開したドキュメンタリー映画「THE COVE」。

<ザ・コーヴ公式サイト>

色々物議を醸している本作ですが、私も「見てから自分なりに評価したい」というわけでマスコミ向け試写会にお邪魔させて頂きました。(手引きくださった皆様ありがとうございます)

だいたい予想通りの展開でしたが、ネットなどで順次公開されるようで、感想もたくさん出てくると思いますので、私も具体的にどこがどうということを備忘的に書いてみます。

なお、ネタバレありですのでご注意ください。

———————————————
前置き
———————————————

■本編を観る前に得ていた情報:
・いくつかの映画館での上映中止の真相
・食料となる動物の実態動画をいくつか
・茂木健一郎氏のクオリア日記「語り合おうよ

■上映中止騒動
この映画を配給するアンプラグド社は、「多くの日本人に見てもらい、それぞれで考えてほしい」というスタンスで日本での上映を進めています。

#個人的には同社配給の「インスタント沼」とか好きですし、アンプラグド社は特に反捕鯨ではなく、あくまで作品のいちジャンルとしてTHE COVEを扱っているのだと見受けます。

これに対して日本の「主権回復を目指す会」が、配給元や映画館にシーシェパードばりの実力行使を行って上映中止に追い込みました。
http://www.shukenkaifuku.com/KoudouKatudou/2010/100419.html
http://www.shukenkaifuku.com/KoudouKatudou/2010/100511.html

この団体の活動ってTHE COVEを見ているようで笑えます。

■情報操作と演出
特にメディア系の方には言わずもがなの感もありますが、我々は日常的に、情報操作や演出を行って生きています。

言ったほうがいいこと、言わないほうがいいことを選んだり(情報操作)、ファッションやインテリア、言葉などに気を使ったり(演出)。

つまり、広義での情報操作や演出は場面によって必要であり、それ自体悪いものではありません。

ただ、同時に情報リテラシー(情報への判断・対応能力)も持ち合わせていないと、ときに騙されたり誤解によって人間関係が壊れるなど、損をしたり不利な状況に陥ったりもします。

また、映画であれば当然ながら観客に感情移入をさせるのが主眼ですから、その点を踏まえて見る必要があります。

■一緒に見るべき資料
THE COVEへの反駁材料ということで、さしあたって動物と食を取り巻く人間の行為に関連する動画や資料などをいくつかピックアップしました。

<事前に見ていたもの>
言わない、見せないことに目を向ける…

●映画「サンキュー・スモーキング」
公式サイト
Wiki「サンキュー・スモーキング」

●YouTube「イルカ漁を批判する反日映画 The Cove を論破!

THE COVEでは、イルカの大量屠殺(とさつ)で真っ赤になった海をエンディング付近で盛大に映し出すことで「大地の漁師たちはこんなに残虐なことをしている」とアピール。可哀想なのはイルカだけ?

※以下の映像は、動物の屠殺や過激な飼育を扱ったものですので注意
Undercover Investigation at Hy-Line Hatchery
〜工場で生きたまま粉砕器に放り込まれるヒヨコ
→THE COVEのニュースで木村太郎氏が反論のため引き合いに出した話の動画。
#卵を産まない雄はその場で殺処分

フォアグラができるまでアヒルのワルツver.
→漫画「美味しんぼ」のエピソードで取り上げられていて興味を持ったもの
#「無理矢理太らせた不健康な鳥の肝臓より新鮮なアンコウの肝のほうがうまい」
という話
#リンク先の動画では、ホースで強制的に餌を“注入”しています。
#今現在もこのような方法を行っているかは未確認です

<THE COVEを見た後に探してみたサイトやYouTube動画
命の食べ方 OUR DAILY BREAD Nuestro Pan de Cada Dia
生命と食を考える-1
生命と食を考える-2
生命と食を考える-3
#良心を持って食材の生産加工に携わる方々は、色々思ったり考えたりしています。

反日盗撮映画 「The Cove(ザ・コーヴ)」 がアカデミー賞を受賞! その呆れた内容とは!?

———————————————
本編<ネタバレ>
———————————————

■総論
THE COVEは「偏狭なエゴ思想家たちが大層な金と時間をかけてつくった偽善のプロパガンダ映画」。平たくいえば、イルカに傾倒した愛好家達が「かわいくて知的で崇高なイルカを虐殺するなんて野蛮なことは実力行使でやめさせる!」と、自分たちの正当性と現地の漁師達がいかに間違っているかをアピールするための作品です。

感想も観る前の予想とほぼ同じでした。

ただ、イルカ漁そのものや水銀問題(後述)などについてはこの映画を通して知ったことで、特に水銀については事実なら大きな問題でしょう。地元でも問題になっているようですが、隠蔽や法のすり抜けだったりするならこれはTHE COVEの指摘の通り。

捕鯨についても、なぜ今も続いているのかという根本的な問いが浮かんだり(本編中では「外国の指図は受けない、という帝国的なプライドだけで続いている」と分析)。

そういわれると確かに捕鯨はなくなってもいいのでは、とも思いつつ、数多の商売の一つとして地域に受け継がれてきたのなら、それで生活している人達にとっては必要なものなのかもしれないとも考えたり。

生息数や種の生態状況といったことなども関係するのでしょうけど、まあそもそも私などがどうこういう話でも、まして少なくともイルカ愛好モンスター団体から咎められるものでないことだけは確かだと思います。

■疑問/問題点
●偏狭な部分=「イルカだけ特別」
…これは見た方ほとんどが共通して挙げる点。まあこの映画や捕鯨、その他世の中のヒステリックな人や団体(モンスター○○とか一部の過激な○○愛護団体)は、ほぼこの文脈ですが、

当の本人達は至って本気だというのが厄介であり、恐ろしいところ。

なかでも、普段からイルカと戯れているというフリーダイビング(素潜り)世界一の夫婦が駆り出されるんですが、この奥さん(ダイビングファンの方はよくご存知なのでしょうか)はイルカに神秘性を感じ、慈しむ存在だと思っていて(私もイルカの能力などの話は聞きますし、確かに優れてはいるでしょうけど愛情では牛や豚を育てている方も一緒だと思いますが)、その人なんかは劇中で唯一イルカの無惨な姿に涙を流します。

個人的にはこの方が一番サムいというか、盲信の象徴という感じで特に嫌悪感を感じました。ああいう立場の人だからこそ、もっと多角的に、世界の食料事情や相手の立場などを冷静に踏まえてたりするんじゃないかという勝手な期待が裏切られたショックもあるかもしれません。

●盗撮
…THE COVEのもう一つの問題点は、盗撮映画ということ。
物語全体の構成が盗撮の正当性をアピールする筋書きになっていて、起承でイルカがいかに特別か、また町民や警察が敵であることの説明を行って、「仕方がないので盗撮した」という流れで見せ場に転じ、クライマックスの「流血の惨状」で結んでいます。

アカデミー賞ドキュメンタリー賞の受賞や海外での評価には(監督自らも言っているように)「オーシャンズ11のようなスリリングな展開」という部分が少なからずあるようですが、日本のテレビでも例えばブラックな会社や組織に潜入して盗撮したものなどがニュースや報道で使われますので、ここまで大掛かりに「大スクープ」を演出すれば「よくやった」という見方も理解できなくはありません。

しかしこの場合は事実を客観的に報道・ルポしているわけではなく、彼らは脚本、脚色を用いた興業(料金を徴収して上映するエンタメ)作品をつくったわけで、加えてひとつの思想を正当化・啓蒙するためのプロパガンダですから、盗撮が評価されるべきものではありません。

禁止区域に入り込んだり、ラジコンヘリやILMの技師を巻き込んだ精巧な隠しカメラなど、豪華な機材でやりたい放題。

これが自腹でつくって無料で世界中に公開されるような映像だったら世界が評価するのも100歩譲って理解しますが、結局は「イルカをダシにひと儲け」するために無断で撮影された、と見てもおかしくないわけで、そうなると完全にただの撮られ損ですからね。

反対意見の人にとっては、料金が必要だと彼らの収入源を増やす(イルカ保護に回されるかもしれない)=敵に塩を送るようなものなので見ない人も出るでしょうし、そもそも彼ら自身が「イルカの虐殺」を見せ物にして銭を稼いでいるというのはどうなのか、ということです。

●水銀問題
本編では、「太地で捕れるイルカは基本的に水銀含有量が高く健康に悪影響」ということを言っています。それなりの調査結果もちりばめ、地元の議員にも水銀が心配なのでイルカの食用に反対している人がいるなど、ある程度の時間を割いて水銀の危険性を訴えていて、これはこれで日本の中でも問題になるとは思います(なっています)。

日本の政府や見えないチカラ(自治体や業界など)、地元の一部なども100%シロなんてことはなくて、本当に危険かどうかではなく法に触れるか触れないかという観点で物事を扱っている部分もあるだろうからそれはそれで問題提起としてはよかったのかもしれません。

ただ、じゃあ「水銀が含まれていないなら食ってもいいのか」ってことですよ。

どっちにしたって彼らはイルカが一頭でも殺されるのは嫌なんだから、副産物として取って付けたようなやり方で水銀のことなんかを混ぜるのは論点のすり替えにしか映らない。

水銀の危険性を警告したいのならそれはそれで別にやったらよくて、目先を分散させる陽動作戦として使っているところが悪質。

●まとめ
以上、ほかにも論点はあると思いますが、私なりに気になった部分を書いてみました。

私としては、「純粋にイルカ保護を訴えたいなら、無料公開したらどうだ」って感じですかね。話はそこからでしょう。

FCS (2009):パッケージ内容

Final Cut Studio (2009)アップグレード版を、アップルストア銀座で店頭購入しました。

※量販店では、ヨドバシアキバに電話確認したところ「入荷の予定はあるがまだ入っておらず、8月上旬になる可能性がある」とのことでした。実際の入荷は店舗に確認が必要ですが、「秋葉原」「ヨドバシカメラ」という条件の店舗ではこのような状況です。

では、パッケージを見てみましょう。


今回は紙のマニュアル群は同梱されず、箱が思いっきり小さくなりました。

IMG_1037
手前が今回リリースされたFinal Cut Studio

カバーを外すと中箱があり、更に冊子の箱とディスクの箱が出てきます。
IMG_1038

内容物は、

■冊子
・インストールガイド「Final Cut Studio ソフトウェアのインストール」
・FCP7チュートリアル「Final Cut Proを使ってみる」
・使用許諾契約
・AppleCareサービス&サポートガイド

■ディスク
・Final Cut Studio Install DVD (Version 3.0)
・DVD Studio Pro Content (Version 2.0)
・Motion Content 1 (Version 3.0)
・Motion Content 2 (Version 3.0)
・Audio Content 1 (Version 3.0)
・Audio Content 2 (Version 3.0)
・Audio Content 3 (Version 3.0)
(計7枚、DVD Studio Pro ContentのみFCS2と同じもの)

です。

IMG_1041

操作に関する紙媒体は、「Final Cut Proを使ってみる」のみ。

IMG_1042

IMG_1043

これには各部の名称から取り込み、基礎的な編集までを「解説」「演習」といったかたちで解説しており、大きさ的にも手元に置いて読めるサイズなので、多くのユーザーにとって座右の書になりそうです。

なお、従来通りフルマニュアルはアプリケーションの「ヘルプ」からPDFのものを呼び出すことができるため、印刷したものは割愛されたと思われます。このあたりのコストダウンが値下げされたことに関係するのでしょうか。

※印刷されたマニュアルが存在するのかどうかはわかりませんので、欲しい方はアップル社に問い合わせてみて下さい。

FCS (2009):店頭販売は7/25から

アップルストア銀座にて確認したところ、入荷は明日(09.7.25)の予定とのことでした。
直営店がこの日なので、他の量販店などもこれに準じて入荷されるのではないかと思います。

優先フィールドについて

インターレースビデオの優先フィールドについて、Final Cut Pro.jpの見解を書いておきます。


今現在販売されている各種ノンリニアシステムについて、結論からいえば、以下のようになります。

●過去の640×480キャプチャーデバイス・コーデック=システムによって異なる。
●D-1*=システムによって異なる。FCP6では「下」、EDIUS 3(VELXUS)「上」など。
*(ITU.Rec 601をベースとするNTSC720x486サイズおよび同PALのSDビデオ)
※現在主流とされるのは「下」であるが、念のため確認が必要
※FCPでは、プリセットされているSD(D-1/DV)のすべてのコーデックは「下」
※参考:「HD/SDの優先フィールド

●DV=どのシステムにおいても「下」
●HD=どのシステムにおいても「上」

この技術情報が何に関係するのか
実務上関係してくるのは、次のような場合です。

・インターレース、特にSDサイズ(NTSC/PAL)を使用する作品
・いずれかのノンリニアで取り込んだムービーを別のノンリニアでそのまま使用するとき
・CGアプリケーションやAfter Effectsなど、コンピュータで作成したムービーを特定のノンリニアで使用するために書き出す場合
・HD/SDが混在する作品


ここからは、その根拠となる考察と検証です。

インターレースについて
インターレースについての基礎的な部分はこちらを参照ください。
・FCP6マニュアルP1869「スキャン」
・Wiki「走査」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%B0%E6%9F%BB

優先フィールドとは
デッキやカメラ、キャプチャー機器(コーデック)がF1→F2の順で1フレームを描くか、F2→F1の順で描くかによって、1フレームの中でF1とF2の時間的な前後が入れ替わるため、ムービーと再生システムのフィールドの順序が合っていないと正しく再生できない(画面内で物体が移動する場合に正常な動画でなくなる)。この「どちらが先に描かれるか」が優先フィールドとなる。

※優先フィールドが合っていない場合、動画が(29.97fpsの場合)約1/30秒ごとに「二歩進んで一歩下がる」ので、「ガタガタになる」「カクカクする」といった表現をする場合が多い。

※ブラウン管、およびデッキやカメラのNTSC/PALおよびHDの1080i60の出力をつないだ液晶ディスプレイ(インターレースモード)で表示する場合に顕著にわかるが、FCP(ならびにインターレースをシミュレーション表示しない通常のノンリニア)の編集画面では見かけ上プログレッシブとなるので気づかない場合があることに注意。

※優先フィールドが入れ替わってもF1とF2を足した1枚のフレームには変わりないので、時間に関係ない静止画面(物体が移動しない箇所)では見かけ上特に変化はない。
(2009.5.2修正)

詳しくは
・FCP6マニュアルP1870「優先フィールドについて」
を参照下さい。

「優先フィールド」の別名
Final Cut Proでは「優先フィールド」という言葉を使っていますが、他のシステムでは別の呼び方をしているものがあります。

・優先フィールド(filed dominance)
・フィールドドミナンス(field dominance)
・フィールド順(field order)
・フィールドオーダー(field order)

これらは実質的に同じ事を意味します。

優先フィールドの決まり

●少なくともD-1においては、規格上、特にどちらという決まりはない
●決まりがないので、優先フィールドはキャプチャーデバイスによって異なる
●つまり、実際にはキャプチャーデバイスから受け取ったコーデックに関係し、ビデオファイルの優先フィールドが決まる
●編集〜出力というプロセスの中で、出力デバイス(通常はKONA、DeckLinkなどのキャプチャーデバイス)と出力されるムービーストリームの優先フィールドは合っていないといけない
※SDI接続の場合、機器間を流れるのは(映像に於いては)汎用的な非圧縮D-1デジタル信号であり、Digital Betacam、DVCAM、DVCPROなど機器のテープ上のコーデックに依存しない。このため、SDIを介した機器のそれぞれで受け取る際に優先フィールドを決定していると理解できる。出力の際もデバイス内で決められた優先フィールドに従ってコーデックをデコードしてSDIに変換するため、ムービーの優先フィールドはこれに合っていないといけないと解される。(2009.5.2追記)
※アナログソースのキャプチャーでも、汎用アナログ映像信号を受け取ってデジタルコーディング(デジタイズ)を行なうのはキャプチャーデバイスであり、これ以降でビデオデータの優先フィールドが決定される。(2009.5.2追記)
●DVにおいては、IEEE1394を通じて機器の世代やOSに関わらずテープからダイレクトにDVストリームを取り込んで編集し、正しく出力できる。これはいわばデータコピーであり、テープ上で優先フィールドを持ったビデオデータをそのまま転送するだけである(iMovieではDVストリームの転送、Final Cut ProではQuickTimeでラッピングされる)。従って、事実上「キャプチャーデバイスはDVテープ」であり、テープ上に記録されるDVストリーム自体の優先フィールドが各種DV互換コーデックの優先フィールドの基準になる。そして、それは「下」となっている。(2009.5.2加筆)
●HDにおいては、文献は未確認であるが、事実上は(各ノンリニアの仕様を見る限り)一律で「上」とされている模様

優先順位の呼び方
二つのうちのどちらが優先かを分けるための言い方にも、いくつか種類があります。

・奇数/偶数優先(Odd/Even field first)
・上/下優先(Upper/Lower first)
・トップ/ボトムファースト(Top/Bottom first)
・第一/第二フィールド優先(F1/F2 dominant)

いずれも、同じ意味です。
ただし、具体的に何を示すかは用語の定義を明確にする必要があります。
以下にそれを示します。

奇数/偶数とは?
インターレースビデオのフィールドを示す際、いくつもの呼び方が存在します。

・第一/第二フィールド
・F1/F2
・Field1/Field2
・トップ/ボトムフィールド
・奇数/偶数フィールド
・上(Upper、Top)/下(Lower、Bottom)
・A/B

ノンリニアシステムの世代やアプリケーション、また映像との関わりなど経験によって変わってきますが、特に早くからビデオの世界に関わっているユーザーほど多くの種類を見たことがあると思いますが、いずれも同じものを指します。

そして、ビデオの変遷の中でこの定義が入れ替わっている事があり、一部で混乱を招いている場合があります。

そこで、今現在(2009.4.30)のSMPTEの規定を示しておきます。

SMPTE 244M-2003図解

※規格副題「M/NTSC並列〜」の「M」とは、SMPTEの125Mに『ITU-R BT.601をベースとしたシステムM(525/60)コンポーネントデジタルテレビジョン機器のインターフェース』とある通り、いわゆるD-1を示します。

過去の情報や基準を用いると錯綜するために規格が存在しますので、現行の最新規格を基準とする場合、こうなります。

・第一フィールド=ライン1を含む側=奇数フィールド
・第二フィールド=ライン1を含まない側=偶数フィールド

※従って、一部でいわれるような「第一フィールドは偶数」というのは現在のSMPTEの規定から外れるものであり、SMPTEを基準として認識している人たちに誤解を与えることになりますが、明確に間違いです。

※また、これは244M-1995の改訂とのことで、1995の内容は未確認ですが、少なくとも2003年に改訂されたものだ、というのもその前後で認識が異なる場合があるのかもしれません。

上/下とは?
・SMPTEにおける走査線の始まりは「左上開始」が基準です。
SMPTEでは、ライン1からスタートする第一フィールドの前に<ライン0やフィールド0>というものは存在しないので、第一フィールドのライン1が起点となります。

・定義上の開始点は第一フィールド(奇数、ライン1)で、第二フィールドはその下の偶数ラインを走査するので、

「フィールド1=上(トップ)」
「フィールド2=下(ボトム)」

となります。

これは、Adobe AfterEffectsをお持ちなら次のテストファイルで確認することができます。

1.このムービーは、Photoshopで720×480サイズの制止画を作成し、黒い背景の一番に縦1ピクセルの白い横線を描いてTIFFで保存、FCPに読み込み、10フレームのDV-NTSC(QuickTime)で書き出したものです。つまり、トップである「ライン1」だけに線が描かれている状態です。
2.ムービーをAfterEffectsに読み込みます。
3.「偶数優先」でフィールド分割をします。
4.プレビューパネルに表示し、コマ送りをしてみます。

…「偶数優先」で一番はじめのコマ(フィールド)に線が見えなければ、一番上(ライン1)が見えていない、つまり第二フィールド(偶数)は「下」ということになります。

※動きのあるムービーなら、テストファイルでなくても同様の方法で画面全体が上下するを確認できます。「偶数優先」ではじめのコマの画面全体が下、次のコマで上に動けば、偶数フィールドが下となります。

参考:AfterEffects CS4での操作方法
「元のフィールド順を判別する」
http://help.adobe.com/ja_JP/AfterEffects/9.0/WS3878526689cb91655866c1103906c6dea-7f35a.html

【!】このAEのマニュアルに『奇数フィールドから」は、Electric Image ファイルの「偶数フィールドから」に相当します』とあるように、過去のシステムでは逆の表記の場合もあるので、不安な素材を使用する場合は実際に確認が必要

以上のことから、奇数/偶数、上/下の考え方は固定で、特にD-1の優先フィールドのいずれかは特に根拠はなく、システム(設計メーカーの考え方)によることがわかります。

※「第一フィールドから続いて最下段の0.5H後半が第二フィールドのトップラインに来るため、この行から数え始めればライン1は2行目なのでこちらが偶数とも取れ、奇数/偶数という言い方は混乱する」「アナログ波形で偶数ラインが先に来るので、先に来る方が第一フィールドで偶数」また、「有効ラインの取り方によって奇数や偶数、優先フィールドの上下が決まる(よってD-1は下)」というような解釈があるようですが、こうした異なる解釈に対して実態を明らかにするべく今回の調査とまとめを行ないました。

FCPマニュアルの間違い
FCPのマニュアルでは、初期の頃から「業務用486およびDVは下」と書かれています。(ちなみに4は確認できていませんが、FCP3のマニュアルでは「優先フィールドはキャプチャーハードウェアによって違います」とも書かれています。)

そして、FCP6では次のような記載になっています(P1871)。

A:たとえば、DV NTSCとDV PALの優先フィールドは常に「下(偶数)」です

B:「Final Cut Pro」では、優先フィールドに2つのオプションがあります:
・「上」(フィールド2 が優先されるので、第2 フィールドが最初に描画されます)
・「下」(フィールド1 が優先されるので、第1 フィールドが最初に描画されます

Aでは「偶数=下」といっている(実際の設定画面でも同じ)にもかかわらず、Bでは「下=フィールド1」とされています。フィールド1はSMPTEでは奇数で、これに従えば「下=奇数」となってしまいますし、上記の実験と逆の結果になるはずです。

この部分は間違いであり、訂正されるべきでしょう。


【2017.4.15追記】

2009年当時このエントリーを書こうと思ったきっかけが、EDIUSWORLD.COM(当時edius.jpだったと思う)さんの「インターレースとフレームレート」という記事でした。

約8年経った今現在も同じ内容が変わらず掲載されているんですね。懐かしい。

<引用>

フィールド

1回分の走査によって描かれる画を「フィールド」とよびます。1フレームは2フィールドで成り立っています。

フィールドには、偶数番目のフィールド(Even Field)と奇数番目(Odd Field)のフィールドがあります。しかし「偶数・奇数」は、一番上のフィールドを「0」と数え始めるか、「1」と数え始めるかで逆になってしまいます。ソフトウェアによって、数え方が逆になっている場合があるので注意が必要です。 もしこれが逆になってしまうと、両フィールドを足して作られた映像の形が崩れてしまいます。

フィールドの上下が逆
フィールドの上下が逆になった図

より安全な言い回しとしては、「上位フィールド(Top Field)・下位フィールド(Bottom Field)」というものがあります。こちらの呼び方なら、一番上のフィールドが上位だということがはっきりします。このテキストも、以下は上位・下位と書いていきます。

EDIUSWORLD.COMから引用

(c)EDIUSWORLD.COM

「一番上のフィールドを0と数えるか1と数えるかで」とある部分に違和感を覚えて調べた結果がこのエントリーなのでした。

DIYで高速RAID-導入編

先日、新しくRAIDを組みました。


r0010185-sファイナルカットスタジオ2 (FCS2)へのアップグレードに併せ、基本的にDVレベルだったHDDの環境を、それなりの(重い)素材にも対応できるようにしました。

今までは、お仕事先の環境でXserve RAIDをしつらえたり高速RAIDを組んだり使ったりということはあったものの、自前の環境はDVベース。

一応、PowerMac G5やMac Proの内蔵HDDでも十分事足りるところに、マルチクリップ編集などを行ったりするのに多少でも速いドライブのほうがよいかと思い、秋葉館で販売している秋葉館オリジナルeSATA PCIカード(PCI-X) を刺してTwin SATAN 秋葉館オリジナル 3.5″ Dual eSATA Case (CenturyのニコイチBOXにHDDを2台セットしたモデル)をMac OSでストライピング(RAID 0)にしたものをワークスペースに使っていました。(補足:ここまではPowerMac G5)

コンセプトはDIY低価格で、これでもパフォーマンスはそこそこではあったのですが、、、

FCS2を少し触ってみたところ、この環境ではちょっと心もとない状況かと思いはじめ、容量も多少増やしたいと思っていたので、いい機会ですので非圧縮HDでもなんとかいけるくらいのRAIDを組んだというわけです。(補足:ここからMac Pro)


finderscreensnapz007
心もとない内容としては、Motionのオプティカルフロー解析ファイルがざっと見た感じとにかく重くて大容量で高速ストレージは必須のようだし、いつかは本格的に扱うであろうApple ProRes 422 のHDフォーマットも、圧縮効率が高いとはいえマルチストリーム再生には速度に余裕があったほうがいいだろうし、長尺の作品作りには容量の増設も必要だろうという気がします。

(図はオプティカルフロー解析ファイル。3秒程度のクリップだが、320MBを消費。QTではなく独自の形式の模様)

また、これはFCS2に限りませんが、Soundtrack Proの各種解析や処理、DVD Studio Proでの「構築(build)」などなど、ストレージの速度に左右される処理というのはごく普通にあるわけです。

こうした理由から、当初は同じHDDケースとHDDをもう一組購入して、単なるポート増設のみだったeSATAカードをRAIDカードに置き換えようと思っていたのですが、、、

当初の予定的にもとりあえずeSATAポートが4つ要るので、当サイトでもキャンペーンでご協力いただいているMAXSERVE さんに相談したところ、マシンがMac ProなのでRAIDカードはHighPointのRocketRAID2314 PCI-Express がいいのではないかということに。

(そもそもの発端はMac Proに入れ替えてPCI-X用のeSATAボードが使えなくなったので、なんにしてもPCI-ExpressのeSATAカードが必要になったってことなんですけどね。なので、RAIDはともかく「4ポート」で探してみたのですが、結局Mac/PCI-Express対応の4ポートだと今のところ最低でも2〜3万円以上のRAIDカードしかないようです。)

これで単純にHDD2台/ポート2口のケースを2つ(HDD4台/ポート4口)のストライピングが可能です。

とはいえ やはりHDDケースの冷却性能や電源などの容量・耐久性などを踏まえた上で検討してみれば、テンポラリーとはいえ業務で高速なRAIDを組むのにただHDDが入るだけのケースを使うのもいささか無謀な気もしたので、「eSATAのRAIDケースはどうなんだろう?」と思ってサイトを徘徊してみると、当てにしていた秋葉館/Centuryのドライブドアシリーズ はPCI-XのG5用しかなく、Mac Proで使えるものは今のところ無いことが判明。

そこで他社製品をみてみたのですが、RAIDON SR6500-5-W で143,850円(税込)、RATOC SA-DK5ES-PE でも89,250円(税込)と、結構いい値段するのでひとまず却下…

と思ったら、MAXSERVE NA-710C が5ベイ/ホットスワップ/ポートマルチプライヤ対応で税込み63,000円、さらにこれとRocketRAID2314のセット が89,250円(それぞれ単品だと計92,400円、いずれも税込)。
r0010176-s RATOCのSA-DK5ES-PEもeSATAカード付きで同じ値段ですが、こちらは単純なeSATAインターフェース(ポートマルチプライヤ対応)なので、 RAIDはOSで組む必要がありますし、付属の専用カードのポートも1口。

一方NA-710C RAIDカードセットだと、同じくポートマルチプライヤ対応の上に4ポート、かつOSに依存しないハードウェアRAIDが組めるですね。

同じ値段でもケース(エンクロージャー)のデザインや質感は段違いに良いですし。

これにSeagateのエンプラ向け高信頼モデル、Barracuda ES 320GB(時価11,000円)を5台投入し、合計148,500円で1.5TBの高速RAIDが完成です。

(あくまでワーク用のお手軽テンポラリーストレージを考えているので、データ復旧が可能なRAID 5ではなく速度重視のRAID 0。このためHDDくらいは一応信頼性重視にしてみました。もちろん、冗長性を重視してRAID 5の運用も可能。)

ざっと調べた限り、eSATAのRAID製品で1.5TBあたりだと軒並みカードは別で最低20万円は超えます。ケースの性能差がそれほどあるとも思えないですし、そう考えると、今回のようにSOHOで安価に高速RAIDを組む以外にも、例えばメインがXserve RAIDのようなFibre Channel系の本格的な非圧縮HD対応環境でも、レンダリング用の安価な追加ワークスペースとしてなら負荷分散にもなるし、レンダリングファイルなら仮に消失しても最悪の結果にはならないのでよいのではないかと思います。

現在MAXSERVEさんではビデオ用途に特化したサポートは原則行っていない(ケース/カードのサポートのみ)ので、このあたりの割り切り次第でコストパフォーマンス重視の選択ができるかと。

r0010181-sまた、今回のセットはポートマルチプライヤ接続なので使うポートは一つ。つまり、3ポートはフリーなので、2ポート使って元々使っていたTwin SATANも活かせるというわけです。

なお、Mac Proの内蔵ベイにも2台ストラピングしたドライブを入れていたのですが、ワークスペースはeSATAにまとめ、これをRAID 1のミラーリングに組み直してプロジェクトファイルや書類関係など重要なものを置くスペースにしました。

MAXSERVEさんは、より高速化が望めるマルチレーン仕様のケース/カードのセット販売キャンペーンを提供くださっています。
RAIDcampaign-banner

KONA3

株式会社アスク主催の、販売店・プレス向けのKONAシリーズの新製品発表会があり、参加してまいりました。

近々製品のほうを特集したいと思っていますが、KONA3はかなり魅力的な出来になってますね。参加者の方の反応も概ね良かったようです。

自分史ビデオ・思い出シアター
2024年4月
« 2月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930