基礎:RAIDについて
RAIDの仕組みと必要性を通して、今回のテスト構成のポイントを解説します。 |
■なぜRAIDを組む必要があるのか
『なぜRAIDを組む必要があるのか』まずそこから考えてみます。
ハードディスク(HDD)の転送速度はATAディスクの場合、現状でも60〜80MB/s。高速なSCSIディスクでさえ100MB/s前後です。
翻って現在の映像編集に必要な速度を考えてみましょう。扱う種類に依って人それぞれだとは思いますが近頃の10bit非圧縮HDなどになると200MB/s以上は必要になってきます。しかしHDD単発でこの速度は現状では物理的に絶対不可能です。
そこでRAIDを組む必要が出てくる訳ですが、元々RAIDはその単語の元が「Redundant Arrays of Inexpensive Disks(安価なディスクを束ねて冗長化させる)」である様に単発のHDDでは万一クラッシュした場合などにデータの復旧が難しい為に考え出された技術です。
RAIDを使用することによってデータを複数のHDDに分割して書き込むことになり、リード・ライトの速度が上がるという効果も得られるよ うになりました。また最近の映像のハイビジョン化に伴うデータ量の増大にも複数のHDDで1つの大容量アレイを作成出来るメリットを持つRAIDのテクノロジーは必須になっています。
■RAIDをどこで組むべきか
RAIDを組む場合2つの方法があります。それは外部で組むか内部で組むか、です。
外部で組むというのはいわゆるRAIDコントローラを外部筐体内に積むタイプの物で、例に挙げるとAppleのXserveRAIDがこのタイプです。内部で組む場合はPCケース内にHDDを多数詰め込みPCの拡張スロットにRAIDカードを刺したそこにHDDを接続します。
外部筐体のRAIDコントローラ内蔵タイプは現在出ている製品の接続形式は、その殆どがUltra320SCSIかFibreChannelです。従って必然的にどんな台数でアレイを組んでも接続形式によって転送速度が制限されることになります。(下図参照)
先述の通り映像編集で今必要になってきている転送速度は200MB/s以上を必要としてきています。
ど んなに筐体側でアレイを組み転送速度を絞り出してもインターフェースがボトルネックになる可能性があるわけです。そのためSCSIや FibreChannelではRAIDアレイを2つ組みDualチャンネルとしてホストPCに接続し、帯域を見かけ上大きくする仕組みを取る構成が増えています。
データの流れを水道の水と例えると、その水を流す管(水道管)の太さがインターフェースの帯域幅です。水道管のキャパシティ以上に水を流すことは出来ません。ならばということで水道管を2つ並べて流すというイメージです。
これと比較して内部で組んだ場合、基本的に接続インターフェースがボトルネックになる可能性はほぼ有りません。(あるとすればRAIDカードを刺したバス部分)
なぜならHDDのデータがダイレクトでRAIDコントローラへ流れるからです。
しかし、内部で組む場合には大きな欠点があります。それは筐体内にHDDを多数積むことが出来ない、ということです。WindowsPCですと大きな筐体を 持ったPCも作成することが出来ますが、ことPowerMacG5等になると筐体内にHDDを数台も搭載することは不可能です。
そこで出てくるのが、今回ロードテストをおこなうにあたって採用した技術である『マルチレーン』です。
マルチレーン | Fibre Channel | SCSI(パラレル) | |
伝送帯域幅 | 10Gbps(1GB/s) (※ 4レーンの場合) |
2Gbps(200MB/s) 4Gbps(400MB/s) |
320MB/s |
ケーブル長 | 2m | 15m | 12m |
接続台数 | HBA*に依る | 127 | 15 |
コスト | 低 | 高 | 中 |
*=Host Bus Adapter