FCP X:シナリオと複合クリップの考察
Final Cut Pro Xでは、タイムラインの考え方が大きく変わりました。
そして、この部分こそが「革命的なビデオ編集」の中核の部分であり、従来と異なる・戸惑う部分であり、それ故ここを理解しないと先に進まない(=理解すれば、かえって便利に感じられる、かもしれない)部分であるかと思います。
そこで、この部分の挙動を探ってみました。
FCP Xでは、積極的にクリップをグループ化していくというのが根底の思想のようです。
そして、グループ化の方法は大きく分けてふたつあるようです。
■シナリオ
まずは、一般的なノンリニアソフトでいうところの(こんな言い回しをすることになるとは…)「トラック」に相当する「シナリオ」。
これは横方向にクリップを並べていく器で、シナリオやクリップも含めて縦方向に積んでいくとレイヤーとして振る舞います。
FCP X:ダッシュボード
Automatic Duck:Pro Export FCP
Automatic Duck Pro Export FCPが、Final Cut Pro XからProToolsなど外部DAW向けのオーディオの書き出しに対応しています。
同ページ右の「FCP X to Pro Tools」リンクから実際の書き出しのデモムービーを見ることができます。
Final Cut Pro X (10.0)
アップル社・Final Cut Pro X 技術仕様より(転載)
技術仕様
Final Cut Pro Xのための他社製プラグイン、チュートリアル、役に立つ関連情報はこちら。関連情報を見る(英語)
最低システム条件
- Intel Core 2 Duo以上のプロセッサを搭載したMac
- 2GBの実装メモリ(4GBを推奨)
- OpenCLに対応したグラフィックカードまたは
- Intel HD Graphics 3000以降
- 256MBのVRAM
- 解像度1,280×768ピクセル以上のディスプレイ
- Mac OS X v10.6.7以降
- 2.4GBのハードディスク空き容量
アプリケーション
- 4GBを超える実装メモリを活用するための64ビットアーキテクチャ
- GPUとCPUを使ったバックグラウンドレンダリング
- ColorSyncで管理されたカラーパイプライン
- 高精度な浮動小数点レンダリングをリニアライトの色空間で実行
- Grand Central Dispatchにより、利用できるすべてのプロセッサを活用
- メイン画面または接続されたLED Cinema Display上で、SD、HD、2K、4Kメディアをフルスクリーンかつリアルタイムでプレビュー再生
- カスタマイズ可能なキーボード
- Unicodeに完全対応
編集とタイムライン
- マグネティックタイムラインが素材を自動的に同期された状態に保ち、クリップの衝突やギャップの発生を防止
- クリップ接続により、基本シナリオのトリミングや移動中に追加素材を適切な位置に保持。タイムライン上のクリップ接続の表示または非表示を選択
- 複合クリップを使って、複雑なコンポジションをシンプルな単一のクリップに統合
- オーディションで複数のクリップを組み合わせて一つのクリップにし、コンテクストの中で、候補となるテイク、カラーグレード、エフェクトを表示
- 同じクリップに異なるエフェクトを適用して比較できるよう、オーディションの中でクリップを複製
- バックグラウンドでメディアを読み込みながら編集
- フィルムストリップ、またはミニフィルムストリップとメタデータ列を含むリストで素材を表示
- 要約再生機能で大量の素材をすばやく表示
- プロジェクトライブラリ内で、読み込む前にプロジェクトを要約再生
- 同じタイムライン上でフレームサイズ、フレームレート、フォーマットをリアルタイムでミックス(最大4K)
- 23.976、24、25、29.97、30、50、59.94、60fpsで編集
- 初回の編集で正しいプロジェクト設定を作成
- キーを押すかドラッグ&ドロップ操作で挿入、上書き、置き換え、追加、接続
- スキマーの位置まで編集を拡張
- タイムライン上でスプリット編集(JカットとLカット)
- キーを一回押すだけでトリミングできる、ニュースやドキュメンタリーの編集に便利なトップアンドテール機能
- メディアブラウザからiTunes、iMovie、iPhoto、Apertureに直接アクセス
- タイムライン上を移動したり、テキスト検索と重要なメタデータに基づいて項目を選択できるタイムラインインデックス
- タイムライン上のメディアを移動または削除し、ギャップを残すことができる位置ツール
- タスク完了をチェックマークで記録できるTo Do項目を含むクリップマーカー
- 再生ヘッド、スキマー、クリップ、マーカーにスナップ
- ギャップで置き換え
- 基本シナリオからリフト
- シナリオを作成し、Bロールを単一のユニットに統合
- プレースホルダを挿入
- ギャップを挿入
- クリップの正確な継続時間を数値で入力
- ブレードツールによる追加編集
- 高品質でリアルタイムのベクトルスコープ、波形、ヒストグラム
- 「オーディオを録音」ツールでナレーションを追加
- タイムラインに表示するクリップのアピアランスを6つのプリセットから選択
- マルチタッチジェスチャーに対応
トリミング
- トリミング前にメディアを要約再生できる
- インライン詳細編集
- 基本的なタイムライントリミング
- 高度なタイムライントリミング機能を備えた
- トリムツール
- リップルとロール
- スリップとスライド
- リフトとリップル削除
- 2画面でのダイナミックトリミング(「詳細なトリミングフィードバックを表示」を有効にした場合)
- キーボードと数値入力による移動とトリミング
エフェクト
- Motion、Compressorとレンダリングエンジンを共有
- 選択範囲内に複数のエフェクトとトランジションを追加
- SD、HDフォーマットでリアルタイムエフェクトをマルチストリーミング
- アルファチャンネルにリアルタイムで対応
- Motionとの連係による高度なモーショングラフィックス処理
- エフェクトをMotionで開いて変更し、Final Cut Proで新規エフェクトとして保存
- 数値入力とキーフレームによるアニメーションとエフェクトの正確なコントロール
- モーションとエフェクト属性を複数のクリップにコピー&ペースト
- メディアブラウザから音楽、サウンドエフェクト、トランジション、フィルタ、カラールック、ジェネレータにアクセス
- 160以上の高度な2D、3Dタイトルテンプレート
- 90以上の高品質なトランジション
- ハリウッドの一流エフェクトスタジオが制作した、125以上の洗練されたアニメーションテンプレート(ビデオドロップゾーンを含む)
- 110以上のフィルタ、キー、ブラー、カラールック
- 28の背景、要素、単色、テクスチャ
- トリム、クロップ、Ken Burnsエフェクト
- キーフレームとオンスクリーンコントロールが使える歪みツール
- キーフレームとオンスクリーンコントロールが使える変形ツール
- バックグラウンド解析後に手ぶれ補正エフェクトをリアルタイムで適用
- ローリングシャッター補正によるデジタル一眼レフカメラのビデオの改善
- 異なるアスペクト比を単一のプロジェクトにシームレスに当てはめる空間適合
- タイムライン上でクリップ全体または選択範囲の速度を変更するリタイミングツール
- ワンクリックでの巻き戻し、インスタントリプレイ、速度ランプ
- 標準、フレームブレンディング、オプティカルフローの3つのリタイミング品質設定
- オーディオピッチを維持したままで速度を変更
- タイトルテキストの検索と置き換え
- タイトルやエフェクトを配置するためのタイトル/アクションセーフゾーンを表示
オーディオ
- サブフレームオーディオのキーフレーム設定
- 最大192kHzのオーディオサンプルをサポート
- リアルタイムのMac OS X Audio UnitとLogicプラグインエフェクトが付属
- 他社製64ビットAudio Unitプラグインをサポート
- キーフレーム設定ができるオーディオレベルとエフェクト
- 再生中にリアルタイムでオーディオフィルタを調整
- パンニング用の5.1chサラウンドモニタリングとキーフレームコントロール
- 「後方から前方」「回転」「スペースを作成」などの5.1chサラウンドパンニング用プリセットアニメーション
- 各オーディオクリップに10または31パラメータEQを内蔵
- 異なるマイクで録音したEQを均一化する「オーディオを合わせる」機能
- オーディオ補正による音量の正規化、背景ノイズの除去、ハムの除去(50Hzと60Hzの両方に対応)
- 読み込み中にオーディオを解析するオプションにより、重大な背景ノイズを除去し、中程度の問題に補正用フラグを付加
- 1,300以上のロイヤルティフリーのサウンドエフェクトが付属(別途ダウンロードにて提供)
- チャンネルごとに有効・無効の切り替えと構成ができるオーディオコントロール
- ピッチを維持したままオーディオを要約再生
- 各クリップの始点と終点にフェードハンドルを配置
- オーディオパンコントロール
- 「無効にする」コントロールとソロコントロール
- ビューアとタイムライン上でのオーディオ波形表示
- 対数カーブによるオーディオフェード
- 100以上のオーディオフィルタ
- タイムライン上での音量調整中にオリジナルの波形の高さを確認できる「参照オーディオ波形を表示」環境設定
- 必要に応じて拡張するVUメーター
色補正
- サチュレーション、露出、カラーを調整できるユニークなカラーボード
- ワンクリックでショットの色を正確に合わせるマッチカラー機能
- 肌色の改善、色かぶりの除去、イメージの明るい部分と暗い部分のダイナミックレンジ拡大を即時に行うバランスカラー機能
- サイズ、回転、柔らかさを調整するキーフレーム対応マスク
- カラーマスクの内側と外側を調整
- 回数制限のない各ショットの色補正
- カラー設定プリセットを保存して再利用
- 20のカラーボードプリセット
- エフェクトブラウザに20以上の高度なカラールックを用意
対応するフォーマットと入出力(*1)
- Apple ProResファミリー、10ビット、ProRes ProxyからProRes 4444まで、すべての主要なフレームサイズとフレームレートをサポートするフルワイドの可変ビットレート(VBR)コーデック
- 最大4Kフレームサイズの解像度に対応
- バックグラウンドでオリジナルのメディアをProRes 422またはProRes Proxyにトランスコードしてパフォーマンスを向上
- メディアの任意のフォルダからカメラアーカイブを作成し、Final Cut Proに読み込み
- 他社製のビデオキャプチャカードやソフトウェアからカメラアーカイブを読み込み
- iPhone、iPod touch、iPad 2などのApple製デバイスから読み込み
- iMovieからプロジェクトとイベントを読み込み
- Sony IMX、XDCAM、XDCAM EX、XDCAM HD、XDCAM HD422の読み込みに対応(Sony製ソフトウェアを追加して使用)
- テープベースのHDV、DV、DVCAM、DVCPRO、DVCPRO 50、DVCPRO HDのストリーミングキャプチャ用FireWireデバイスコントロール
- Apple TV、iPhone、iPad、MacなどのApple製デバイス用の書き出しプリセット
- YouTube、Podcast Producer、Facebook、Vimeo、CNN iReport、Eメール用の書き出しプリセット
- DVD、AVCHDディスク、ブルーレイディスクに書き出してディスクを作成(*2)
- AppleがデザインしたDVD用メニュー、ブルーレイディスク用アニメーションメニュー
- イメージシーケンスとして書き出し
- 携帯電話、Wi-Fi、ブロードバンドへのインターネットストリーミング用にHTTPライブストリーミングとして書き出し
- オーディオをAAC、AC3、AIFF、CAF、MP3、WAVEファイルとして書き出し
以下のフォーマットのネイティブ編集に対応(*3):
- GoProカメラとiFrameカメラのH.264
- デジタル一眼レフカメラのH.264
- BWF(Broadcast Wave Format)
- DV、DVCAM、DVCPRO、DVCPRO 50、DVCPRO HD
- HDV
- Panasonic AVC-Intra(AVC-Intra 100およびAVC-Intra 50を含む)
- Sony IMX、XDCAM HD、XDCAM HD422、XDCAM EX
- JVC製XDCAM EX
- Canon XF MPEG-2(読み込みには追加ソフトウェアが必要)
- AVCHD(Panasonic AVCCAMおよびSony NXCAMを含む)
- 非圧縮8/10ビットSD/HD
- Apple Intermediate Codec
- 静止画像(PSD、BMP、GIF、RAW、JPEG、PNG、TGA、TIFFを含む)
- 圧縮オーディオ(AAC、AIFF、BWF、CAF、MP3、MP4、WAVを含む)
メディア管理
- コンテンツの自動解析機能が実用的なメタデータを読み込み中に付加
- 検索可能なカスタムメタデータを作れる範囲ベースのキーワード
- 選択した条件をもとにクリップを自動的に整理するスマートコレクション
- メディアフォルダの読み込みによってキーワードコレクションを自動作成
- 「よく使う項目」または「不採用」として範囲をマークし、並べ替えや絞り込みに利用
- メディアの移動とコピーのためのメディア管理ツール
- プロジェクト単位でのレンダリングファイル削除
- イベントの移動および結合機能
- プロジェクトメディアを統合して別のシステムに移動
- イベントブラウザを使った広範な検索、並べ替え、絞り込み
- 編集中にバックグラウンドでProRes 422に最適化するか、ProRes Proxyメディアを作成するかを選択できる「メディアをトランスコード」機能
- 作成日、読み込み日、リール、シーン、
- 継続時間、ファイルタイプでクリップをグループ化
- 年、または年と月でイベントをグループ化
- イベントライブラリに日付範囲を表示
- 名前、テイク、継続時間をもとにクリップの表示順序を決定
- Finderまたはイベントブラウザでクリップを表示
- カスタムコメントフィールド
- プロキシまたはオリジナルの高解像度メディアに接続するための環境設定
- 「Compressorへ送信」機能によるCompressorとの統合
(*1)一部の機能を使用するには、追加のハードウェアとソフトウェアが必要です。
(*2)ブルーレイディスクを作成するには、ブルーレイドライブが必要です。
(*3)ネイティブ編集には、トランスコーディングなしの読み込みと再生のサポートが含まれます。
Macお宝鑑定団Blog:NYTimes.com:David Pogue氏によるFinal Cut Pro Xに関するQ&Aを公開
Macお宝鑑定団Blogで「NYTimes.com:David Pogue氏によるFinal Cut Pro Xに関するQ&Aを公開」が公開されています。
これによると、現時点(リリース直後)として
・マルチカム編集、XML書き出しは復活予定
・オーディオトラックはAutomatic Duck Pro Export 5.0(有償)を使用することでオーディオトラックがDAW用に最適化されて書き出し可能、AAF/OMFも同プラグインで書き出し可能
・EDLは引退するべき
・業務用テープベースのI/Oはサードパーティーのキャプチャー/マスタリングツールを使用
・REDはプラグインを開発中
・ファイルの再接続は、コマンドがなくなり自動で追跡
・レンダリングファイルはプロジェクトと同じボリュームに保存され、変更はできない
・P2カードは「カメラから読み込む」インターフェースで読み込み可能
・過去のバージョンのプロジェクトは過去のバージョンで開くように
(注:過去のバージョンを持っている場合に限りますね)
<以上、趣意>とのことです。
アップル:Final Cut Pro X に対応しているカメラ
アップルから「Final Cut Pro X に対応しているカメラ」ページが公開されています。
Apple:Final Cut Pro X Resources
アップルのFinal Cut Pro X 技術仕様ページに、関連情報(英語)へのリンクがあります。
Final Cut Pro X オンラインヘルプ
アップルから「Final Cut Pro X ヘルプ」が公開されていますね。
ユーザーはアプリ内のヘルプウィンドウが常に前に来て邪魔な場合にブラウザで表示させたり、ユーザーでない方は機能などを調べたりする資料として活用できます。
右上の印刷ボタンから印刷ダイアログを表示させられます。
そこからPDFに保存することで、オフラインで参照したり、iPadなどでも見ることができるようになります。(2011.6.29補足)
raitank blog:FCP-X と Final Cut Studio を共存させる “正しい方法” by Apple
raitank blogにて「FCP-X と Final Cut Studio を共存させる “正しい方法” by Apple」が紹介されています。
補足:日本語の同サポート情報も公開されていますね。
「Final Cut Pro X, Motion 5, Compressor 4:最善なインストール方法」
なるほど、「なぜMotion 4が関係あるの?」と思われる方が大半かと思いますが、もしかしたらこの現象と関係あるのかもしれません。