FCP X:トランジションに背景を置く際の注意
FCP Xでクロップや縮小、不透明度を下げるなどしたクリップをトランジションさせる場合、背景に任意の素材を配置するには注意が必要です。
■基本シナリオは使用しない
こちらで触れているとおり、基本シナリオ上でトランジションを適用した場合、トランジションの箇所だけ下のレイヤーが表示されません。
トランジション中にも正常に背景を透過させるには、基本シナリオ以外のシナリオでクリップA/Bをトランジションさせる必要があります。
・フルスクリーンでない、なおかつトランジションさせたいクリップが基本シナリオにある場合は、対象のクリップを基本シナリオからリフトします。
・リフトしたクリップ同士をシナリオにまとめます。
※図では基本シナリオにトランジションが残っていますが、作例の手順上残っているもので特に必要ありません。
・背景が見えるトランジションを適用すると、正しく表示されます。
※トランジションをかけるシナリオは基本シナリオ以外である必要がありますが、背景となる素材は基本シナリオに置いてもかまいません。
■根本的には不具合に変わりはない
上記の方法は「回避策」です。
先述の記事「FCP X:基本シナリオのトランジションの背景処理がおかしい」での問題提起は(基本シナリオだけであることを未確認だったことと初出時の「回避策がない」という部分以外)特に間違ってはおらず、ごく一般的な手順で編集を行っているうちに遭遇する可能性があり、明示的に回避策を取らなければなりません。
具体的には、まず基本シナリオの下にもシナリオやクリップが配置できること。
加えて、基本シナリオより下のクリップはトランジションの部分以外は普通にレイヤーとして透過し、基本シナリオより上であろうが下であろうが上下関係に従って重なり順通りに画面表示されます。
であれば、基本シナリオでカットを並べている場合、クロップしたクリップがあれば「わざわざそこだけ基本シナリオからリフト」なんてせず、基本シナリオの下に背景を置くのが手っ取り早くて自然でしょう。置けるんですから。
少なくとも方法の選択肢としては特に奇をてらったものでもありません。
そうなれば、トランジションはごく自然な流れで基本シナリオ内のAとBにかけることになります。
また、では基本シナリオよりも下で同じことを行った場合はどうかといえば、これはこれで問題なく処理されるわけです。
・黄色い枠が基本シナリオ。その下にクロップしたAとBを入れてトランジションを適用したシナリオがあり、更にその下に背景クリップを配置。この状態では挙動は正常。
つまり、結論から言えば、基本シナリオだけはトランジションの背景処理が特殊なのでそれを覚えておく必要がある、ということになります。