インターレース/プログレッシブ
従来のSD(標準精細度、NTSC/PAL)と、HD(高精細度)の一部の放送フォーマットでは、インターレース(飛び越し)スキャンという走査方式を採用しています。
インターレースは1フレーム(1/30秒)あたりの横の走査ラインを奇数ラインと偶数ラインに分けて(0.5/30秒)それぞれを「奇数フィールド(=1,3,5,7〜485)」「偶数フィールド(2,4,6,8〜486※)」と呼び、始めにどちらかを画面の上から順に描いて、その後にもう一方を描画します。
※デジタルビデオとしてのNTSCのいわゆるD1解像度は横720×縦486ピクセルですが、このうち縦の486ピクセルというのはおおよそアナログNTSC信号の走査線数である525本を元にして、デジタルビデオ用の規格として決められています。
インターレースは元々は、放送上、電波の帯域幅をなるべく減らすために考えられた方法で、結果としてコマ数が増えるため(1フレーム=2フィールド(2コマ))、動きが滑らかになるという効果があります。
一方困った事もあり、ビデオの1フレームを静止画にしたり、(インターレース処理に対応していない場合の)液晶テレビやPCモニターで動画を見た際、動きのある部分がクシ状のギザギザになってしまいます。これは、各フィールドが時間差で0.5/30秒分ずれているのを一枚の静止画にしているためです。
液晶パネル(テレビ/PC)やPC用のブラウン管モニターでも動画にギザギザが現れるのは、これらのモニターがプログレッシブ(順次)スキャン方式であるためで、これは1フレームを奇数・偶数・奇数…と素直に一回で描画する方式であるため、静止画にしたときと同じように、再生する動画がインターレースであった場合、0.5/30秒分の誤差を持った各フィールドを一回で描くからです。
DVDプレーヤーや最近のテレビでは「プログレッシブ対応」というものが多くなっていますが、現在の液晶(パネル自体)は構造的にプログレッシブであるのと、PCやDVDなどの単体でつながる機器は放送帯域幅などを気にする必要がないために、DVDでは対応機器同士の場合、PCでは従来から、プログレッシブスキャンが採用されているわけで、後発規格で帯域などにも考慮したHDフォーマットでも、複数方式のいくつかで採用されています。
こうした違いは「出力先」によって問題になったりならなかったりしますが、最終的に静止画にしたりPCで見るコンテンツを作る場合、またはHDのプログ レッシブ方式でマスタリングする場合などはインターレースは関係ないですから、インターレース素材はプログレッシブに変換が必要になります。
HDのプログレッシブの場合は、まず簡易セットアップ(かシーケンス設定)で該当するものを選びます。
また、どのシーケンスであっても、インターレース素材をシーケンスに使用したり静止画で抜き出す※※場合は、FCPに標準の「インターレース除去」フィルタ、あるいは(画質に差が出る部分ですので、必要に応じて)サードパーティーのインターレース除去フィルタをクリップに適用します。
※※静止画の場合は縦横比なども変える必要があるので、何もせずに書き出してAdobe Photoshopのインターレースフィルタや解像度変換などで後処理する手もあります。
なお、PCで見る動画コンテンツなどでは、DVなど素材ネイティブのインターレースシーケンスで通常通り編集して、MPEGやSorensonなど、最終的に見るフォーマットにエンコードする際、エンコーダーの設定でインターレースを除去します。
(Compressor 2)