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研究室-音声同期-
2002.7.6更新

音声同期にまつわる問題は、現在世に存在する音声/映像を扱う機器やソフト、またそれらの開発者にとって少なからず大きな課題であり、音声と映像の同期がずれるトラブルは比較的起こりやすく、また原因の究明や解決がそんなに簡単ではない部類の問題ようです。例えば少し前ではハードウエアのMPEG-1キャプチャーシステムや、最近でも某HDDレコーダーで起こっているという情報がありますし、ノンリニアシステムでも中には悩まされているメーカーや製品は探してみるとFCPに限ったことではないのがわかります。

ここでは無用なな風評被害を極力避けるためにこうした前置きを書きますが、やはりずれないでナンボの編集システムですから、いくら編集がしやすくても根本的なところで障害があってはその使いやすさの意味がなくなってしまうわけです。そこで、今現在集まっている情報を元に、FCPで音がずれるという複数の報告について原因や対策を探ってみたいと思います。

特に、多くのヒントが(「問題と対策」ページでも取り上げていますが)
2001.3.28に公開されたTech Info Library(TIL)「フレーム落ちとオーディオ同期が失われること」にあるようですので、これを中心に考察していきます。

[2002.7.6]TIL-再生中の問題」もご覧ください。

■「取込時のコマ落ち」による同期喪失

取込(キャプチャー)時にコマ落ちがあるクリップは、同期がずれる可能性がある、とあります。キャプチャーの時に何らかの理由でコマ落ちが起きている場合、停止中はタイミングが合っているクリップでも再生中(特に長い時間になるほど顕著)にずれていく、と書かれています。そこで、取込時にコマ落ちがあった場合に警告又は停止させるオプションが初期設定にありますので、これを入れておくことでコマ落ちが発生したことがわかります。

しかし、コマ落ちが発生していても停止しない、あるいは他のシステムでキャプチャーされたファイルを使うことがまれにあるかもしれません。そうした場合、取込時にコマ落ちの監視をしていてもコマ落ちファイルの仕様を完全に防止できるわけではありませんので、より実質的にファイルにコマ落ち箇所があるか調べる方法があります。FCP3から装備された「ロングフレームをマーク」(「ツール」メニュー)でクリップをスキャンすると、1フレーム以上の長さのフレーム(=ロングフレーム)があった場合にマーカーが振られます。正常な場合は映像は1フレームですが、それ以上の長さのフレームがあるということは、取り込むときに次以降の1つ以上のフレームを取りこぼしているということになります。

こうしたいくつかの方法でキャプチャー時にコマ落ちが発生していることがわかった場合、キャプチャー環境を改善する必要があります。

考えられる原因や対策はTIL「フレーム落ちとオーディオ同期が失われること」の「フレーム落ちの主な原因は:」「取り込み時のフレーム落ちによって同期が失われる 」に書かれていますので、よくお読みになって検証してみてください。

また、「ビデオとオーディオを別のディスクに取り込むと良い」といった情報もあるようです。これはこれで改善するのならひとつの対策になるかも知れませんが、DVに限っては「オーディオとビデオのディスクを分けないように」マニュアルに記載されています。マニュアルに書いてあるということはそれなりの意味があるという意味で、この事も知っておく必要はあります。

■「出力時のコマ落ち」による同期喪失

出力時にコマ落ちが発生している場合にも同期がずれる可能性がある、とあります。取込みの時にコマ落ちしておらず、ファイルとしてはきちんと同期している場合はこちらの可能性があります。これも初期設定で再生時のコマ落ちを報告させるオプションがありますが、この報告がない場合でも症状が出る場合は対策を試みる価値はあると思います。

TIL「フレーム落ちとオーディオ同期が失われること」の「出力時のフレーム落ちにより同期が失われる 」ケースの1つ目「RTオーディミキシングの数が多すぎる」については、同時にFCP3マニュアル<Vol.2>P478からの「Final Cut Proのリアルタイムオーディオミキシング」並びにP540「RTオーディミキシング」「オーディオ再生の品質」の項を参照してください。

2つ目の「ムービーの自動同期」についてもよく理解しておく必要があるようです。
この機能の詳細についてはFCP3マニュアル <Vol.2>P539に詳しく書かれていますが、要はQTの基準である32KHzまたは48KHz以外の微妙に異なる(48.0258KHzなどの)サンプリングレートのファイルに対してクリップのサンプル数をカウントし、補正することで、基準と異なるサンプリングレートによって長時間再生中に徐々に同期がずれていくのを防止する機能です。

デフォルトではこの自動同期はオンになっていますが、いくつかポイントを上げてみますと

  1. DV以外のクリップの編集では使用しない
  2. タイムコードの途切れがあるクリップでは使用しない
  3. TILによれば、(特定の)Canon製DVカメラで特に有効(つまり特定のCanon製カメラでは必ず基準からずれたサンプリングレートで記録されてしまうため、これを補正する)な機能であること

といったことを知っておく必要があります。

マニュアルによれば、(1)についてはアナログインターフェースやSDIなどを使用したキャプチャーではそもそもサンプリングレートのズレは発生しないので、自動同期の設定は必要ない上、TCの途切れがある場合逆に無効なサンプル数のカウントによって同期がずれる可能性があるので、チェックは外すようにすること、

(2)については、DV上でTCの途切れがあった場合に(1)と同じく無効なサンプルのカウントによって同期が失われること、

が理由な要ですが、更に(3)では裏を返すと「“特定のCanon製カメラ”以外では必要ないかもしれない」ということなので、一般的には外しても構わないのではないか、ということが考えられます。

実際いただいた報告の中でも「ムービーの自動同期を外したらウソのように解決した(SONY製DVカメラ使用)」といったものもありますし、 コマ落ちなどの部類の問題は考えにくい場合は「ムービーの自動同期」を外してみることも有効かもしれません。P539の下の方に「この機能が使用されたかどうか判断する」方法が書かれていますので、もし通常の環境で「自動同期」による補正が行われていないようなら外してしまって良いのかもしれません。

3つ目以降はマシンの再生能力によるコマ落ちの可能性が書かれていますので、これまでの条件が原因ではないと思われる場合によくお読みの上検証してみてください。編集が細かくなってくるとディスク上のあっちこっちへシークが発生しますので、回転数もさることながら、シークタイムの速いディスクが望ましいとか、オーディオのミックス又はFCPムービーとして書き出す、あるいはムービーとしてレンダリングしてしまう(極力シークを発生させない)といったことが必要な場合も(ことCPUやシステムバス、ディスクの能力が遅い環境)あるようですし、デスクトップへのミラーリングなど、使わなくても良いシステムリソースは出来るだけ使わない方がよいとか、FCPとMacという「アップルのゴールデンコンビ」といった感覚で気楽にAppleTalkをONにしていたり余計な機能拡張がたくさん有効になっていたりしがちですが、やはり荷の重いDTVですから、あくまでセオリー通り極力シンプルな構成で気をつかっていくに越したことはありません。

■その他の原因

TIL「フレーム落ちとオーディオ同期が失われること」「フレーム落ちがないのに同期が失われる 」に書かれている設定や再生条件以外の原因としては、「初期設定ファイルがおかしい」事が考えられます。また、MacOSまたはFCP、QuickTimeなどのAV関連の何らかのプログラムの自体のバグではないか、といった推測が一部で伝えられているのも仕方のないことですが、そうした推測はまずは考えられる事を確認し、対策を行ってみてからの話だと思います。

特にG3やクロックの低い初期のG4、メモリの少ない環境、またPowerBookなどで(「どんな種類のハードドライブを購入するのが良いでしょうか?」の条件を基準にした場合)ビデオ編集に向かない内蔵ディスクを使っていたりといったケースでは再生能力や複数ファイル、編集点を探しながらのシークが発生する細かい編集時には上記の要因に該当する確率が高くなってきます。PBでは、(「どんな種類のハードドライブを購入するのが良いでしょうか?」では情報が古く、「検証が終わっていないので推奨しない」とされていますが)FireWire接続のケース、特に2.5インチに比べ回転数やシークタイムが速い3.5インチのもの、FireWireブリッジも出来るだけ速いOxford911などのチップを搭載したものを使うなどデスクトップより不利なバススピードやディスク環境を補う対策に気をつかった方がよいと思います。PowerBookだけで編集出来るようなイメージがアップルによって植え付けられていますが(笑)、それはそれでイメージ戦略。現実の(FCP的に必要な)条件との違いは間違いなく存在します。


同期ずれに悩まされているユーザーの方は、これらを元に原因を探してみてください。案外原因は「マニュアルを読んでいない」(又はわかりづらい)事かもしれません(^_^;)し、本当にFCPに不具合があるのかもしれませんが、、、。その他の情報もお待ちしております


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