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-FCP Unofficial Review-

STRATA DV base
2001.8.15更新

Contents
はじめに
ダウンロード〜インストール
登録/シリアルナンバー取得
起動
キャプチャー
編集
エフェクト(トランジション/フィルタ)
タイトル(テロップ)
プレビュー
出力
終了〜総評


■はじめに
番外編で、STRATA DV baseをインストールしてみましたので、ざっとレビューしてみたいと思います。

STRATA DVは、元をたどると
Avid社のAvid Video Shopであり、Video ShopはMacではPremiereと並んで古くから親しまれてきたノンリニアソフトの一つで、PowerPC以前の時代からAV Macシリーズにバンドルされていました。一方、STRATA社もStrata Studio、Vision3DといったMac用の3Dソフトを古くから提供しており、Adobe、Aldausといったメーカーと並んで「グラフィックはMacintosh」と言われる要因の一端を担っていました。

その後STRATA社はAvid社からVideoShopを取得し、STRATA VIDEOShopとして3Dトラック(3DMFモデルのインポート/レンダリングができた)を備えたりと、3Dの作成ラインにビデオプロダクトを加えたラインアップを展開してきましたが、DVへの対応の遅れや元々のVideoShopの限界から、段々とユーザーも減ってきたように思われます(少なくともMacDTV.comコミュニティ(ML/BBS)では話題になる機会は減ってきました)。

また、3D-Digital社に吸収され、有料版のSTRATA 3D Proの他に、機能限定版のSTRATA 3dを無料版で公開しました。(2001.8.16現在もhttp://www.strata.com/products/ から無料版を含む製品群を見られますが、残念ながら無料版のダウンロードはできないようです。)

日本語版の製品は、無料版はありませんが、STRATA 3d、VIDEOShopとも現在ソフトウェアトゥー社で扱っており、店頭でご覧になることもあるでしょう。といっても、対応QuickTimeはQT3ですし、DV対応ボードの動作確認情報は1999年のものですので、今買おうと思われる方は少ないのではないかと思います。

そして、先日本国のSTRATA社から、VIDEOShopが新たに"STRATA DV product lineとして、無料版の"STRATA DV base"、標準版の"STRATA DV plus"、高機能版の"STRATA DV pro" (いずれも英語版)というラインアップを発表しましたので、ダウンロードしてみたというわけです。


結論から言いますと、残念ながら、と言うか、予想通りというか、FCPユーザーにはとても使えるものではありません。もっというと
多少お金払ってでもiMovieの方がいろんな意味で絶対いいです、今となっては…(笑)

Scitex社から、かつてハイエンドノンリニアシステムの"STRATA VideoSphere"が販売されていましたが、このあたり私は疎いので、因果 関係は不明。また、STRATA社に買収される前のAvidVideoShopが3.0だった頃、Media100がDataTranslation社のもので、NetscapeNavigatorが2.0で、Radius社がVideoVisionと
Radius Edit(Edit DVの前身)でのアナログノンリニア中心だった頃、PowerPCが601だった1996年の時点で、Premiereは既に4.2、AfterEffectsは3.0でした。私がDTVに足を突っ込み始めてからもしばらくPremiere4.2、AE3.0でしたから、98年にPremireが5に、99年にAEが4になったときのインパクトは大きかったですよね。 STRATAシリーズの件も含め、ソフト/ソフト会社の変遷というのもめまぐるしいものがあり、MacDTVの佐藤さん(Premiere 1.0の頃から!)をはじめ、懐かしく思われる諸先輩も多いと思います。

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ダウンロード〜インストール
ダウンロードはhttp://www.strata.com/からできます。約5.4MB。



特になにかシステムに入る様子はなく、再起動の必要もありません。

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■登録/シリアルナンバー取得
<HFS+>ボリュームではダメ
さて、起動をしようとアイコンをダブルクリックすると、通 常のソフトであれば起動画面が現れますが、ここで真っ白な枠だけ表示されて止まってしまうケースがほとんどだと思います。 みついやすひろさん@MacDTV.comの情報によると「MacOS拡張(HFS+)のディスクではうまくいかない」とのことですので、ここでMacOS標準(HFS)のボリュームを用意する必要があるわけです。どのMacもアップルからの出荷段階でHFS+にフォーマットされている今頃になってリリースするにしては、何とも的はずれです(初歩的なミス?)。わざわざこのソフトのためにフォーマットし直すなんてこと、あまりする気にはなりませんよね。ちなみに、キャプチャーはHFS+ボリュームで構いません。動作環境も、一応MacOS9.2のQuickSilverで動いています。

実は私もRTMacとMac OS Xが当たるっていうんで、OS X用に切っていたパーティションが消せる状況になったのでインストールしてみようと思ったのでした。

HFSのボリュームが用意できたら、起動してみます。

めでたくスプラッシュスクリーンが現れたら、右の三行のうちの"Register"を押すと、IEが立ち上がって、登録画面 に飛びます。名前やら住所を入力すると、今度はアンケートの画面が出てきて、これに答えると「シリアルはメールで送る」と言ったメッセージとともに、STRATA社からメールが送られてきます。

これにシリアルが書いてあるのかと思いきや、「このURLにアクセスしなさい」とだけ書いてあり、そこに行って初めてブラウザ上にシリアルナンバーが表示されます。同時にメールでも来ますが、(freeのSTRATA 3d同様)何ともしち面倒くさい登録システムになってます。

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起動
シリアルを入力すると、無事起動することができました。

新規で起動するときは、NEWプロジェクトを作成します。


[large:34KB]

デザインが変わっただけで、基本的にはAvidVideoShopの時代と変わりません。画面 上部のツールバーが加わったくらいでしょうか。というよりも、シンプルになりすぎて、かえってわかりにくいような気が…。

初期のウィンドウは、キャンバス、ビン、タイムラインです。


プロジェクトの初期設定
エフェクトの初期設定
 
タイムラインとキャンバスは拡大/縮小できますが、キャンバスの大きさはプリセットの倍率でしか変えられず、しかもこれが大雑把。特に75%がないのは結構不便。

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キャプチャー
それではキャプチャーしてみます。
ちなみに、キャプチャーには"Digitizing"ウィンドウを開くんですが、DVってテープに記録される時点でデジタル化(デジタイズ)されてるわけですから、「さらに"Digitize"するってどういうこと?」というツッコミを入れるのが正しいと思われます。

はじめは何も映らなかったので、Matrox(RTMac)関係の機能拡張を外したところ、TRV20から映像が来ました。特にキャプチャーの設定やデバイスコントロールはなく、iMovie同様「今すぐ取り込み」でキャプチャーします。ファイル名を付ける場所もないので、勝手に"Untitled Movie"で保存されていきます。保存場所の指定は可能です。

できたファイルは当然ながらDV-NTSCのムービーです。しかし、QT Playerで開いてみると、なぜか音声はモノ8bit、44.1kHzになってました。free版だから?。


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編集
ビンに登録されたファイルをタイムラインにドラッグしていきながら編集します。
素材を持って移動させるには<Control+ドラッグ>で行います。

一般的なノンリニアソフトは、タイムライン上に素材領域と再生ヘッド領域があって、ヘッドをドラッグすると再生ヘッドが移動してジョグ(スクラブ)再生、移動やトリミングは素材を直接触って伸ばしたりドラッグしますが、STRATAはそのままではタイムラインの素材触っても基本的に単なる範囲選択(選択時にスクラブ再生にはなりますが)となります。この辺のクセって、やっぱり元がAVIDだからでしょうか。(AVID<MediaComposer>っぽいといわれるEditDVも傾向が似ていますよね。)個人的には、この部分がAVIDの苦手な要因の一つ(イマイチ直感的でない:見たものを見た通 り触れるいわゆるWYSIWYGでない)ではあります。

ビンからドラッグ配置した直後。

そのままドラッグしただけでは範囲選択となりますので、この素材を 移動させるには<Control+ドラッグ>しないといけません(2ボタンマウスでは右ボタンでドラッグ)。
#範囲選択する頻度ってそんなにないと思うんで、「通常はドラッグ、ツールを持ったら範囲選択」のほうが理に適っていると思います。

トリムやカットはツールを持ち直します(マウスの位 置によっては素材の端をそのままトリミングはできます)。

ツールやその配置は基本的にVideoShopを踏襲しています。

各トラックをその左のボタンで広げるとフィルムストリップ(サムネール)表示や波形表示を開閉切り替えできますが、透明度やボリュームを指ツールで直接調整するいわゆるラバーバンド(キーフレーム)表示をするにはこれらを展開する必要があり、キーフレーム調整のたびに時間のかかるサムネールや波形の表示が伴います。


「今すぐアップグレード」広告
編集前にIN/OUTを決める方法はちょっと見わからず、タイムライン上でトリミングしながら並べ替えるしかないようです。ビン上の素材をダブルクリックすると、「早くアップグレードしよう!」という広告が現れます。この広告はどうもbaseにはできない機能を実行しようとしたときに現れるようで、編集点の設定ももしかしたらできないのかもしれません。

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エフェクト(トランジション/フィルタ)
base に含まれるトランジションは「ディゾルブ」と「ワイプ」のみ。フィルタはありません。

範囲を選択したら、トランジションボタンでどちらか選択します。
#単純なフェードイン/アウトは、フェードイン(アウト)ボタン(右上がり(右下がり)矢印のボタン)を押すと適用されます。

パラメータを調整します。

パラメータを設定したら、"Build"ボタンを押すと 合成(レンダリング)を始めます。
レンダリングが終わるとパラメータウィンドウのOKボタンがライブになりますので、適用するにはOKします。

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タイトル(テロップ)

トラックを追加します。
タイトルエディターもVideoShopと同じです。FCP以上、Premiere以下といったところ...。
実際に載せた様子。シャドーは勝手についてしまってますが、これの調整はちょっと見ただけでは相変わらずよくわかりませんでした。

レイヤーの順序は変えられます 。

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プレビュー

"Preview"や"Print to Video"等を行おうとすると、「アップグレードしよう」広告を10カウント見なければなりません。
Projectメニューから"Preview"を選ぶと、レンダリングを始めます。40秒のムービーに4分近くかかります。
このプレビューというメニュー、ホントにデスクトップで見るだけのようです。これが終わるとレンダリングされたウィンドウが現れますが、見終わって閉じてしまったら、もう一度見るには再度レンダリングを開始します。

キャッシュ(作業用)フォルダには、キャプチャーしたムービー(Untitled Movie 1)よりちょっと大きい
"Preview"ファイルができます。内容はDVムービーです。


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出力

Print to Videoはアナログアウトのようなのですが、なぜかデスクトップに再生されます。おそらくダウンコンバーターでミラーリングさせるのでしょう。
Print to FireWireを選択するとこのパネルが出てきます。
OKするとまたレンダリングを始めます。この前にPreview作業を行っていますが、それとこれとは別 のようです(笑)。
40秒のムービーを約4分かけてレンダリングしたあげく、「FireWireデバイスが見つからない」といわれてしまいました。「見てポン」キャプチャーはできましたが、出力にはデバイスコントロールが必要なのでしょう。SONY TRV20という平均的なカメラで動かないので、少なくとも日本では使えませんね。

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終了〜総評

タダのソフトですが、終了するにもタダでは終わらせてくれません。10カウント待たないとOKボタンが現れません。要するにデモ版(プロモーション版)ですね。

以上見てきた通り、大筋Avid VideoShopから大幅に変わった部分はありません。つまり、時代遅れの感は否めません(第一、HFS+ボリュームにインストールできない時点で、追いついてない)。Premiereよりも安いクラスとはいえ、他にリーズナブルなノンリニアソフトがなかった時代では革新的であったとしても、今となってはあえてこれを選択する理由はやはり見あたりません。

STRATA DV baseはあくまでplus以上を買わせるための試用版ですが、Final Cut Proのユーザーとしては、(仮に人に勧めるといった場合等に)STRATA DVを選ぶとしたら、「無料だから」という以外に理由が見つからないのも仕方のないところ。

フル機能のProバージョンであっても、このインターフェースにトランジションやフィルタなどの機能が追加されるだけですから、インターフェースやDVデバイスとのコミットといった部分を見ても、
・ baseを使うんだったら簡潔さや洗練度、DVコントロールといった面でiMovie
・ plusにアップするよりはEditDV Unplugged
・ ProにするならFCP
を選んだ方が、 STRATAファンの方は別として、ビデオ編集ツールの選択としてはいい結果 を得られるのではないか、という気がします。使ってみないことには評価しづらい、という意味で、番外編で(結果 はわかっていながら(笑))お届けしました。

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