FinalCutPro/編集〜効果/ネスト
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-Final Cut Pro 2-

編集-ネスト
2001.11.6更新

FinalCutProの特徴的な機能のひとつである、QuickTimeの参照ムービー機能を最大限に活用したシーケンスのネスト。Ver.1.0から標準的に可能となっている、つまり元々の考え方として柔軟に素材やシーケンスを扱えるようになっており、制作効率の良さの一因となっています。

Adobe AfterEffectsなどの合成ソフトにもネスト機能がありますが、FinalCutProのようなカットをつなげていく編集ソフトでネストができる、ということは、合成ソフトでのネスト機能とは違った意味があります。
100万円超のクラスのノンリニアソフトでもこの概念を持ち合わせていないものもありますが、編集ソフトでシーケンスのネストができることにどのようなメリットがあるのかを、使用方法と交えてご紹介します。


「編集-ネスト」
「プロジェクト」と「シーケンス」
ネストとは何か?
エフェクト/レンダリング

■「プロジェクト」と「シーケンス」

FinalCutProでは、ひとつの編集単位のことを「シーケンス」といいます。
シーケンス=タイムラインとと考えてもいいでしょう。
また、保存されるファイルは「プロジェクト」といい、プロジェクト単位 で素材や設定などを管理・保存します。

これは大抵のノンリニアソフトと同じだと思いますが、FinalCutProのタイムラインは、一般 的なノンリニア編集ソフトとは違った扱い方をされます。

標準的な(ここではAdobePremiereを例に出しますが)ノンリニアソフトは、ひとつのファイル(保存単位 )にひとつのタイムラインしか持つことができませんので、プロジェクト=タイムラインとも捉えることができるわけですが、FinalCutProにおいては、ひとつのプロジェクトに複数のシーケンスを持つことができるので、プロジェクト=タイムラインとはなりません。

また、仮に別のプロジェクトのインポートができたとしても、それはあくまで付加機能の範疇であったり、いかにも難解な手順を経て、制約の多い形で扱うことになるケースが一般 的だと思います。

FCPのネスト機能は素材とシーケンスとをほぼシームレスに日常的に扱うことができ、この価格帯でありながら放送品質のハイエンド編集も可能なことと相まって、大変実用性の高いソフトであるといえるでしょう。

↓Adobe Premiere(図は5.1)では、シーケンスとはいわゆるストーリーボードのような位 置づけみたいです。



プロジェクトとは別 に保存したPremiereの「シーケンス」。アイコンに"STORY"と付きます。

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これに対し、FinalCutProでは、
 プロジェクト=作品
 シーケンス=バリエーション

と捉えることができると思います。

これはどのようなメリットがあるかというと、ひとつのプロジェクト内で、素材を共有しながら複数の作品をつくることができるのです。

また、あるシーケンスを元に、そのシーケンスをあたかもひとつのクリップであるかのように扱うことができるので、派生したバージョンを作成することもいとも簡単に行うことができます。

マニュアルには「レンダリングの負荷を分散することができる」と書いてありますが、制作管理の面 からも大いにメリットがあります。

ひとつのプロジェクトに複数のシーケンスを持ったところ

シーケンスはひとつの編集単位ですから、基本はシーケンス(タイムライン)に素材を編集していきます。




そして、ひとつのプロジェクトに複数のシーケンスを持つことができますので、必要な素材をシーケンス単位 でつくることができます。例えば、独自のクレジットやカラーバー、黒味を(局毎など)必要な長さだけ配置したリーダー部分をひとつのシーケンスとして作成しておくことができます。


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■ネストとは何か?
ここで本題のネストを利用するのですが、辞書的な意味は「入れ子にする」、そしてFinalCutProにおけるネストとは「シーケンスの中にシーケンスを配置する」ことです。


リーダー、オープニング、本編(コーナー)、エンディングをそれぞれ別 シーケンスで編集し、完パケ(マスター)とするシーケンスにネストした状態。間にCM用の黒味を入れてみました。これはDV以外に放送フォーマットの素材が扱えるFCPでは現実的なものと思われます。局に合わせたタイムコードで編集を行う、またはシンクの入ったマスターテープにインサートで書き出すことで局納マスターとすることもできます。



ブラウザからドラッグ&ドロップでビデオ素材と同じように編集することができ、トランジションなどのエフェクトや、トリム、分割といった編集が、同じプロジェクト内で作成したシーケンスに対して行えます。

また、FCPの概念的に、タイムラインに配置された素材はコピーであるため、もちろん元のシーケンスに影響はありません。

■エフェクト/レンダリング
ここで確認しておくのが、レンダリングやエフェクトについてです。
元のシーケンス上でレンダリングされていない箇所を残したままネストすると、未レンダリングの箇所はそのまま残りますが、ここで「ネストされたシーケンスに対してレンダリング」を行った場合と「元のシーケンスでレンダリング」を行ったときでは動作が異なります。

基本的にはコピーですから、ネスト先のシーケンス上でレンダリングを行っても、元のシーケンスは未レンダリングのままです。けれども、元のシーケンス上でレンダリングを行った場合は、ネストされたシーケンスにもレンダリングが反映されます。

↓レンダリングしないままネストした状態




また、エフェクトに関しては、ネストされたシーケンスはひとつの素材と同じですから、全体に適用することができます。これは、できあがった作品全体にエフェクトやフィルタをかけたいときに非常に便利で、いちいちムービーファイルに書き出し、再度読み込んでエフェクトをかけることなく、新規シーケンスをつくって配置するだけでエフェクトやモーションなどの設定が行えます。

以上が、制作管理における基本的なネストの活用方法です。
例えばDVD用のコンテンツを編集している場合、本編のほかに、モーションメニューやダイジェスト、マルチアングル用映像、特典映像などを同じプロジェクトの中でやりくりしながら制作していくことができ、大変便利です。

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