Final Cut ProとHD
NAB2004で「Final Cut Pro
HD」の発表があり、当然ながら各誌で製品紹介が載っている訳ですが、その多くには案の定、予想通りの誤解がありますので、今一度明らかにしておきましょう。
誤解というのはもちろん「Final
Cut
ProがHDに対応になりました」っていうもので、「やっとHDができるようになったんだ〜」という認識。「HDコーデックが搭載され、取り込んで編集できるようになりました」みたいな紹介が目白押し。
ネーミングがネーミングなので無理もない気もしますが、しかし「コーデックとシーケンス上でのネイティブHD」という意味ではFinal
Cut Pro
2の段階で対応していましたので、「HD対応」ノンリニアとしては2001年からの歴史があるわけです。
キャプチャーボードもCineWave
HDをはじめ、KONA HD、DeckLink
HDと数年前から徐々に環境が整っており、キャプチャー環境が整ってきたFCP3で既に導入例が、FCP4あたりでは実用性も十分で、本格的にHD制作を行っているプロダクションも増えているようです。
Final
Cut Pro
HDは、バージョンとしては4.5。
ではなぜ今「Final
Cut Pro
HD」なのか、どこが変わったのかといえば、機能的には「PanasonicのDVCPRO
HDコーデックに対応し、FireWire経由で、HD用のRAIDがなくても内蔵ディスクで、しかもRT
Extreme対応で、言ってしまえばPowerBookでもHD編集ができるようになった」ということで、つまりそれは「DV感覚でのHD」「カジュアルHD」「日常的HD制作」の準備ができました、という意味で「Final
Cut Pro
HD」というネーミングになったのでしょう。
今までは非圧縮HDに対応、しかしキャプチャーボードも結構するし、RAIDありきで一踏ん張りできる体力や仕事がないとHD環境は構築できなかった(これはFCP側ではなく導入側の問題)ので(それでもCineWave
HDは当時からかなりの低コストソリューションでしたが)、それが、他社に先駆けて、HDCAMカメラ一台買う値段で撮影から編集・マスタリングまでHD制作できる環境を揃えられるようになった、DV感覚で撮ってきてつないでHDマスタリングできる手軽さになった、ということですので、「Final
Cut Pro
HDでHD対応になった」ってのは機能としての認識もニュアンスも違うわけですね。
ちなみに「DVCPRO
HDは真のHDではなくインチキHDだ!」という論調がやはりあるようですが(確かに1920x1080に対して1280x1080ではありますが)、じゃあ「720x486のD-1に対して720x480のDVはインチキNTSCなのか?」って話になってしまうわけで(笑)、「安くて使い勝手がいいんだからDV圧縮だっていい」のだったら、HDも同じくハイクオリティ向けの非圧縮HDと同時に、HD量産(標準)時代には、低コスト向け(低クオリティという意味ではない)に圧縮HDも、制作上問題なければ全然アリなのではないかと思うわけです。
Posted: 土
- 6月 5, 2004 at 05:07 午後