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-Final Cut Pro Unofficial 番外編-

Shake

<2002.4.24更新>

本日(2002.4.24)、ビジュアル・プロセッシング・ジャパン社にお邪魔して、Shakeのデモを見せていただきました。Shakeとはフィルム・HD・SDを問わないハイエンド合成ツールで、ShakeをリリースしていたNothing Real社が本年2月にアップルに買収されたことで、近々アップルの製品としてリリース予定の製品です。

Shakeはタイタニック、アルマゲドン、パールハーバー、ファイナルファンタジーといったいわゆるハリウッド映画でも広く利用されている合成/ペイント/ロトスコーピングツールです。

#こうした映画製作ツールでは、discreet社のinfernoが使用されていることがある種ブランド的にクローズアップされがち(事実、機能も価格も(^_^;)最高峰)ですが、長い歳月と細分化されたワークフロー/プロダクション/制作チームの中ではひとつのツールだけ使用されることはなく、適材適所でinferno、Shakeのほか、AfterEffectsやもちろんマットペイントなどではPhotoshopが使われていたりするわけです。3DCGでも3DStudio MAX、Maya、Softimage等各プロダクションによって違うものがひとつの作品で使われることも日常的です。

さて、今までWindows NT 4/Windows 2000/SGI IRIX/Linuxプラットフォームで動いていたShakeですが、当然今後はMac OS Xで動いていくことになります。しかし、Mac OS X版も買収以前から計画されてはいたものの現時点でまだ発表になっていないことから、デモはNT版を見せていただきました。

まずShakeの位置づけですが、価格的に、主に利用するのはポストプロダクションやCGプロダクションなどの完全な業務用です。アップル製品としてはまだ何の発表もないので今までの販売価格を参考にしてみますが、1ライセンス158万円。そのほかにフィルムやHDを扱うにはそれなりのストレージやビデオボードが必要ですから、Shakeと1080/24pといった高解像度の素材を2時間弱くらい貯めておけるRAIDシステムや10bitのビデオボード等を含めて4〜500万円弱のシステムになるかと思います。

Shakeはとにかくプレビュー/最終レンダリング共に速く、デモ機はたまたまお借りしていたというNECのExpress5800(3DCG業界で世界的に通用するスペックを持つTE5グラフィックカードを搭載)というハイスペックマシンでしたが、こうしたグラフィック専用マシンでなくてもある程度のスペックのマシンで同じくらいストレスのない作業が可能とのこと。2Kサイズのフィルム解像度の素材にブラーをかけるのに2秒くらいという例でその速さがお分かりいただけるかと思います。

実際いただいたパンフレットにも現在製作中の市川崑監督の映画「かあちゃん」(2002年11月公開)での合成シーンにおけるイマジカ社の事例インタビューが紹介されており、試験的に導入したところによるカラーコレクション面でのフィルムとのマッチング、レンダリングの高速さ(今までのシステム(ってなんだろう?)では一眠りできるところが、Shakeではそうはいかなかった、ということです)、8/16/32bitの内部演算による色再現などの機能性に触れられております。(世界の市川崑監督ですから、その映像に対する目の厳しさからいって、そうした作品の中で、また予期せぬカットの要望に対して、合成やカラコレによって問題なくOKシーンを作り出せるところに注目ですね。)

機能的にはキーイング(いわゆる抜き)、カラコレ(色補正)、モーショントラッキングなど申し分ない高度なもので、Primatte及びKeylightキーヤーのバンドル、1/64サブピクセルの精度で追跡可能な最大4ポイントまでのトラッカー、RGB/HSV/HLS/CMY/YUVのいずれかを利用可能なマルチプルカラースペースやルックアップテーブル等の豊富な手段でのカラーコレクション、高度システムでは定番のSapphireTinder等のプラグインが利用可能であるなど、映画やCMなどのハイクオリティな合成を快適に行うことができます。

インターフェースも合成に特化したもので、タブの切り替え、プレビュー、ノードツリー(フローチャートのようなもの。discreet社ではスケマティック・ビューと呼んでいる)を中心とした画面で作業を進め、タイムライン上のレイヤーベースで行うよりも複雑な合成や試行錯誤が容易に行えるようになっています。

こうした内容面からいっても、総じてプロダクションレベルの高機能なもので、2Dベースにおいては速度・機能共にinfernoを使わざるを得ないケースがかなり減るのではないかというほどのものといえると思います。高価なinfernoルームを借りる前に、下作業をShakeで済ませてしまうといったケースが増えそうなことも伺いました。

ちなみにinfernoはSGI社のUNIX(IRIX)ワークステーションの中でも最もハイパフォーマンスなOnyxで動くシステムで、まあ実用的なシステムを組むのに2億円くらい、年間保守ン万円ともいわれる規模のものなわけで、それなら何でもできるだろう、といういわばグラフィックワークステーションの王様です。

そうしたシステムは自ずとプロダクションを選ぶもので、一台でちょっとしたテープ編集室が作れてしまうほどのシステムをおいそれと導入できるところはごく限られてきますが、デスクトップパソコンで利用できる低価格なShakeであれば、数ライセンス購入することも容易なわけですね。

さて、Maya、Cinema ToolsといいShakeといい、昨今のアップルの戦略はますますハイクオリティ/ハイエンド制作市場にシフトしており、「映像のアップル」として再び地位を挽回なるか?!といった感じですよね。

それと、 ここで「24P編集への対応」「HD/フィルム合成」というキーワードでいって忘れてはならないのがAvid|DS HDでしょう。 アップル社のビデオプロダクトの目標というかターゲットは、やっぱりAvidなんでしょうかね。ちなみにDS HDは大体5〜6,000万円位します。

まだまだ一日の長があるAvidですが、Mac OS X、Final Cut Proとも成長期ですから、数年単位の長い目で見守りたいと思います。

で、 気になるShakeの発表時期ですが、こうした製品群の流れから考えると、映像関係のイベントに合わせるとしたらさしあたっては映画テレビ技術・Digital Production 2002あたりのタイミングじゃないかな〜、なんて期待してしまいますね(^_^)。

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